英語って難しい。
昔の人の書いた英語
現代のように翻訳ソフトがまだ発達していない数十年前に書かれた英語の資料を修正する機会が度々あります。図面や取扱説明書、仕様書やテストレポートなどの書式を見直すついでに文章を修正して改訂するだけの単純な仕事です。
語学に長けた人が作った資料は特に問題ないので文章はそのままにちょちょいと書式を弄るだけですが、ちょっと不得手な人が書いた資料の場合は文章の見直しが少し大変になります。
例えばプロダクトの取り扱い注意事項を指示する項目などでは、「この製品をこうやって使うとこんな悪い影響が生じますよ」と言ったように『影響』をよく表現します。
impactやinfluenceなど『影響』を意味する英語は様々ありますが、一般的に機械製品の取り扱いで用いられるのは"affect"や"effect"でしょう。これらは似ていて混同しがちな英語の代表格ですが、affectは影響を与えることを意味しており、effectは影響を受けたことによって生じた結果を示す際に用いることが多い言葉です。細かいことを言えば色々と用法用例がありますが、まあざっくりとした覚え方は以下のような感じです。
”cause(原因)がaffect(影響)することによってeffect(影響の結果)をもたらす”
取り扱い注意事項を指示する項目では「製品の取り扱いによっては人や環境に製品が悪い影響をもたらすので注意してください」といった感じで製品が他に与える影響を示すのでaffectを用いることが多いです。
それはいいのですが、あまり英語が得意でない方が作った一部の資料では、影響を与えた結果を示す際にeffectではなくaffectを名詞形にしたaffectionを用いています。
まあ、書いた人の意図は分かるのですけども・・・影響をもたらすことを意味する動詞のaffectが名詞形になったとしても「影響の結果」とはなりません。
というか、affectionは直訳すれば『愛情』です。
「製品が影響することによって愛情が生じる」と英語で書かれた取り扱い注意事項、英語力の低さが生み出した意図せぬ面白みを前にして私は一体どうすればいいのやら。
結言
弊社の一部製品には『愛情』が込められています。
というよりは文章中に『愛情』の英単語が埋め込まれている、が正確な表現です。
面白いから残しておきたいけど、真面目な文書でニュアンスが通じないとさすがにマズイので残念ながら改定時に修正しています。
余談
単純な仕事ではありますが"This is a pen."クラスの英語で書かれた資料などもあるので、侮れない仕事です。