我は官軍我が敵は 天地容れざる朝敵ぞ
敵の大將たるものは 古今無雙の英雄で
之に従う兵は 共に剽悍決死の士
鬼神に恥ぬ勇あるも 天の許さぬ叛逆を
起しゝ者は昔より 榮えし例有らざるぞ
軍歌「抜刀隊」
唐突ではありますが、この歌詞はとても好きです。
どこが好きかと言えば官軍やら朝敵やらの部分ではなく、敵対者の勇武を賞賛している点です。敵の大将を古今無双の英雄だと称えたり、それに従う兵隊が勇敢で優れていることを誉めそやしているところが好みです。
個人的に争い事は好まない質ではありますが、争いを常に避けられるわけでもありません。ただ、争うからには高貴さというか高潔さというか、そういった気持ちを持ちたいと思っています。
こればかりは完全に趣味の問題です。私の個人的な好みの話に過ぎないことを先に述べておきます。
対立相手をクズだとするムーブは勿体ない
SNSなどでは議論や論争における対立相手を下に見る傾向を持った人が散見されます。酷い場合は相手の知能そのものに疑義を申し立てたり罵言を浴びせたりする様相も見られます。
ただ、そういった仕草はあまり好手だとは思えません。ネットミームの「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない!!」のような側面は現実に存在すると思っています。
全ての争いに適用できるミームでは当然ないものの、こう、傍から見れば、汚い言葉を用いる人も、それに汚い言葉で返す人も、第三者からすれば論争の中身に関係なく「どっちもどっち」だと評価されるリスクがあるわけで。
一応真面目な理屈として『相手の尊厳の剥奪・非人間化や悪魔化によって社会が分断するリスク』などを語ることもできますが、とはいえこればかりは完全に好みの問題で趣味に他ならないです。第三者からの評価なんかどうでもいいから対立相手を貶めたいとするムーブが好きな人はいるでしょうし、それはそれでいいです。論争の中身こそ重要であって態度で評価されてしまうのは勿体ないと個人的に思うだけです。
イギリス風
個人的にはイギリス人ムーブが洗練されていて好みです。
ステレオタイプ的ではありますがブリティッシュジョークは皮肉たっぷりであり、そんなブリティッシュジョークが大好きなイギリス人は対立相手を貶すのではなく褒めます。特に勝利した後には倒した相手を褒め称えます。時には絶賛さえすることも。
それはとても高潔なように見えて、その副音声は明白です。
「相手はこれだけ凄い相手だ、実に優れている」
「それに勝った俺たちはもっと凄い!」
つまり、「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない!!」のだとすれば、対立相手を持ち上げれば自然と自分サイドを持ち上げることにも繋がるわけです。
まあ皮肉たっぷりではありますが、ただ相手を貶めるよりはなんとなく瀟洒で洗練されている手法かな、なんて思います。
結言
そもそも個人的には対立そのものを避けたい気持ちが強いのですが、いざ対立が必要になった場合はせめてお洒落でありたいなという、ただの欲求と趣味の話でした。