爽風上々 (id:sohujojo)さんとよんばば (id:yonnbaba)さんが『共食』について書いていらっしゃったのを見かけて、とても興味深く共食の現状について関心を持ったため、私も共食について記事を書いてみます。
hikikomoriobaba.hatenadiary.com
私は技術屋という職業柄かどうにも定量的に物事を見る考え方が強いため、統計やデータからマクロな視点で共食について語ってみましょう。
共食とは
まずは言葉の意味の共有ですが、今回はお手軽にお役所のwebサイトを引用させてもらいます。
「共食(きょうしょく)」という言葉を知っていますか。
家族や仲間が食卓を囲んでコミュニケーションをとりながら食事をすることを「共食」と言います。
共食は、望ましい食習慣の確立、適切な量と質の食事につながるとともに、食卓で合わされるコミュニケーションは人間形成の基礎となり、豊かな心を育みます。はしの持ち方などの食事のマナー、あいさつ習慣、食べ物を大切にする心など様々なことを学ぶことができます。 また、誰かと一緒に食事をすることで栄養のバランスが整い、また、誰かのために献立を考え、料理をすることが脳の活性化を促します。
楽しく食卓を囲む「共食」は、とても大切な時間と場です。
共食の重要性について適切にまとめられており、まったくもって正しい見解だと思います。昔から言われているように「同じ釜の飯を食う」ことには大きな意味があるのでしょう。
家族と共食をしている人の推移
食事に関する具体的な統計調査は農林水産省が毎年行っています。
この調査のうち、『家族との共食』について具体的なデータを収集しているのは2010年からのようですので、そこから数年分のデータと令和5年の最新データを表とグラフにまとめてみた結果を示します。
農水省のデータは無いものの、おそらく昭和や平成初期は共食をしている割合が現在よりも高かったものと推測します。
まず朝食に関して、これは平成後期に改善傾向が見られたものの、令和に入って再度悪化していることが分かります。家族と朝食をほとんど毎日取っている人の比率は50%を切っており、2人に1人は家族と朝食を取っていないようです。「ほとんどない」の割合も高まっていることから、家族で朝食を共食しない傾向は明確に高まっていると言えます。
夕食に関しては意外なことに改善傾向が見られます。「ほとんど毎日」の割合は増加し「ほとんどない」の割合が低下していることから、家族で夕食を共食している割合は増えていると言えるでしょう。
ただし令和5年の最新データで「週に1日程度」「ほとんどない」を合わせて7.7%の人が家族と夕食をほとんど共食していないこの結果は、昭和や平成初期のデータが無いことから高いのか低いのかは断定できません。
個人的には意外と少ない割合だとは感じますが、昭和の大家族を経験してきた方であれば充分に多いと思われるかもしれません。
共食をしない理由
農水省の意識調査では共食に関する認識の調査が行われたこともあります。
平成30年の意識調査では、家族との共食が困難な理由として次のような理由があげられています。
共食を困難にしている最たる理由は仕事のようです。
その内訳はもちろん家族それぞれで異なるのでしょうが、朝食の共食は減り、夕食の共食が増えていることから「核家族化の進行によって朝食を作る時間が捻出しにくくなった」「共働き家庭が増えて朝の時間の調整が困難になった」など理由はいくつか考えられるかと思われます。
また、近年の傾向を換言すれば、朝食を一緒に取れなくなったからこそ夕食を一緒に取る割合は増加するようになった、のかもしれません。ただの推測ではありますが。あるいは働き方改革などで労働時間が減少しつつあることも夕食を家族で共食する割合が高まっている一因の可能性はあります。なんにせよ理由は各家庭に依るでしょう。
共食に関する意識がそこまで低下しているわけではない傍証として、共食をしない理由についても見てみましょう。
意識的に孤食を選択している人もある程度の比率でいるのは事実ですが、最も多いのは仕方なく孤食を選択している人たちであり、仕事の都合や独身など家族と共食をしたくともできない層がいることにも留意が必要かと思われます。
結言
共食は大切な習慣であり、様々な利点があります。
そしてそんな功利主義的に考えずとも、親しい人と食事をすることは本質的に楽しい行為であり、人生を豊かにする喜びの一つです。
もちろん人によっては共食をすることが難しい事情があるとは思いますが、共食を意識し、共食をできる環境を整えて、積極的に共食をするようにしたほうが良いかと考えます。