今回は「評価は他者がするもの」をテーマに、考えをつらつらと書いていきます。
それは動かせない
仕事や人間関係、学問や芸術など多くの事柄において、評価は他者がするものです。
これがこの世の真理とまで大仰なことは言いませんが、決して変えることができない事実の一つだと言えます。
どれだけ自分なりに頑張ったとしても評価する人が見ていなければ努力は評価されませんし、結果が伴っていなければやはり評価はされません。評価は採点をする人の感情的な好き嫌いすら影響します。
自らが望む通りに他者から評価されるべきだと考えることは、残念ながら幻想に等しいものです。
これは誰しも同じです。
他者だけではなく誰しもが同じような原理原則に基づいて行動しています。
「己は他者から正しく評価されていない」と憤ったとしても、では己が他者を正しく評価できているかと問われれば答えに窮することでしょう。
例えば他者が100点満点だと信じて貴方に何かをプレゼントしたとしても、それが貴方の嫌悪するモノであれば100点のプレゼントだと評価することはそうそうできません。それができるだけの聖人君子などまず一握りです。
評価は他者がするものであり、そしてそれは私も貴方も誰しもがそうだと理解すると得心がいくかと思います。
苦しいを解消するための方策
他者の評価に苦しむ原因は主にギャップです。自らの考える評価と他者の評価に乖離がある場合、そのギャップの大きさが苦しみを生みます。自己評価が100点でも他者評価が90点であれば少し苦しいものですし、他者評価が50点であればとても辛くなるものです。
しかし前述したように他者の評価はアンコントローラブルなものであり、変えることができません。
であれば、他者の評価を変えようとするのではなく別の方策が必要です。
例えば、ギャップを小さくするように働きかけることは有効です。
自尊心と自己評価を見直し、他者の評価を甘んじて受け入れて、フィードバックをかけて評価のギャップを縮めるよう努力することで苦しみから遠ざかることができるでしょう。
自分を100点だと思っていたのに他者の評価では60点だったとすれば、現在の自分は100点ではなく60点なのだと素直に思い直し、その40点の不足は何が原因でどうすれば埋めることができるのかを理解して取り入れて、次からは他者評価で100点を目指すことで理想と現実のギャップを埋めることができます。
これは現実的で一般的な対処法ですが、少し注意が必要なこととして「評価者を制限する」ことが必須です。
なにせ人にはそれぞれ別の評価基準があり、全ての他者から100点だと評価されることは絶対に不可能です。よって無数の他者から100点を得ようとすると自分の軸を見失って他者に依存する人間となってしまいます。この方策は万人の評価者を対象とするのではなく評価されたいと考える一部の人々へフォーカスすることで初めて適切に機能します。
他にも他者評価に依拠しないことも一つの方策です。
他者の評価を自己評価と比較しなければ苦しみは生じません。誰がどう評価しようが自分は自分であり、自己評価を軸に生きることも立派な生き様だと言えます。
ただ、これは自身の健全性を維持できる点で非常に強力な方策ですが、度が過ぎると社会性の低下を招きかねないため注意が必要です。
「自分は他者を自分の基準で評価するが他者の評価は聞き入れない人」はちょっと我儘で嫌味な人ですので、社会集団から疎外されない程度に多少は他者の評価を受け入れたり自分の基準で他者を評価することを控えたほうがいいでしょう。
結言
いずれにしても、評価は他者がするものであることを留意しておくことは有益です。私も、貴方も、誰もが同じ考えで評価をしています。
変えられないその現実を変えようとするから苦しみが生じるのであって、何かを変えるのであればそれは他者の評価ではなく己自身です。