忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

チームの出力が低下するのは誰の責任か

 グループとチームはどちらも人の集まりを指す言葉ですが、その違いは協業の要不要によります。メンバー同士の協力を必ずしも必要としないものがグループ、メンバー同士が共通目的に向かって協業するものがチームです。

 

相変わらず噛み付く

「4人のチームで進めている件だが、うちのYの負担が大き過ぎないか?もう1か月近くこの案件に着手していて大変そうだ。もっとバランス良く仕事を割り振って欲しい」

「それは大変申し訳ないです。必ず全員で分担して協業しろという指示でしたので、4人の分担比率を1:3:3:3で割り振っており、Yはこのうちの1ですが、この1が大き過ぎるということであればもう0にしても宜しいでしょうか。Yに分担した仕事は他の3人であれば1日で終わるので、こちらとしても進捗が早くなって大変助かります。本件、他の3人だけでやれば1週間で終わるのですが、期日前とはいえすでに1か月も経ってしまっており汗顔の至りです。Yもそろそろ若手を卒業する歳ですので、てっきりYがそちらの課で仕事のやり方を充分に教わっているものと誤解しておりました。そちらの課の能力を過大評価してしまって申し訳ありません」

 

 ちゃんと部下を育てろよという嫌味を込めて噛み付いていくスタイル。別件のせいでオブラートの在庫が切れていたので実際はもう少しストレートに"厳しい"表現を用いて回答しましたけども。

 でもメール冒頭に「辛辣な表現を用いますが」と入れておいたのでセーフです。ええ、アウトです。

 

足し算と掛け算

 単純作業の場合、作業者の技能によって多少の差は出るものの、グループの人数が多ければ多いほど作業の総出力が増していく足し算となります。

 対してチームによる協業では仕事の効率は掛け算です。2と3の人が協業すれば6の出力を出せますが、2と0.5の人が協業して出力すると結果は1しか出せません。新人や若手をチームに入れると全体の出力が下がるのもこれが原因で、出力が低い人の教育やフォローのためにリソースを余分に消費するためです。

 

 あまり表現はよくありませんが、一人前の1に満たないメンバーがチームにいるとチームの出力を低下させる重荷となります。これは善悪で語るようなことではなく、やむを得ない自然現象のようなものです。

 これは1に満たない個人の責任に帰すべきではなく、教育を担当する者の責任です。責任者はチームの出力を一時的に低下させてでも、リソースを費やして1に満たない新人や若手の教育に注力すべきであり、他所のチームに出張させるのであればせめて1にまで上げてから出すのが教育担当者の責務、であってほしいです。

 正直、ただの願望です。

 

 とにかく、辛辣な表現を用いますが、1に満たないメンバーを渡されても運用に困るのです。

 

種・水・土

 まあ、とはいえ、どれだけリソースを費やしても芽が出ない子はいます。これもまたやむを得ないものです。本人の適正と仕事が合わない場合もあれば、人の相性というものもあります。

 誰もがどんな環境においても立派な花を咲かせるなんてことは有り得ず、適切な種が水と土の合うところで生育されなければなりません。種は若者の能力、水は教育側の能力、土は組織の風土に該当するでしょう。

 水は頑張って現場が用意しますので、お偉いさんは自組織の土壌に合った種を見抜く眼を持ち、栄養豊富な土壌を守っていただけると現場としても助かります。合わない種や荒廃した土壌を持ってこられても芽吹かせることは無理なのですから。

 

 つまり、チームの出力が低下するのは誰の責任かと言えば、最終的には組織の上層部ということです。

 

余談:採用担当者との雑談

私「贅沢言わないからさー、消極的で大人しいタイプばっかりじゃなくて、多少馬鹿でもいいから元気なタイプを採用してよ。エンジニアは自己駆動力が高い子のほうが伸びやすいんだからさ。ちゃんと突き進む方向はこっちで教育するからさー」

採用担当「僕もそういう元気な子を上に回してるんだけど、役員の好みに合わないみたいで…」

私「ぐぅ、役員の趣味だったか・・・それはもう仕方ない、君の責任じゃないね」

 組織風土はお偉いさんが作るものだという典型的な実例と言えそうです。採用面接で散々<真面目を装った人>に騙されてきているのだからいい加減学んでほしいものです。