情シスだって忙しいんですから、なるべく自己解決しましょう。
今回はそんな見解を述べていきます。
少し辛辣です。
情シスに頼らなくともできることはある
「ネットに繋がらなくて仕事が出来ない!ちょっと見に来て!」
おそらくこのような光景が見られる職場はそこそこあるかと思います。
まあ、扱うデータは自社サーバやクラウドに保管されているでしょうし、社内外のやり取りだってネットワーク経由が基本ですので、今どきネットに繋がらないと仕事にならないのは仕方がないことです。
ただ、ネットに繋がらないと仕事が出来ないと分かっているなら、普段から管理をすればいいだけの話でしょう。
BCP(事業継続計画)のように、止まって困らないよう事前に対策を考えておくことはビジネスの基本中の基本です。
新規に立ち上げたり構成を変更したネットワークならばともかく、常用しているネットワークで生じる障害なんて大抵の場合はLANケーブルかルータかサーバ側のトラブルです。それならば日常の管理や障害時の場合分けはそこまで難しくありません。もちろんネットワーク障害の規模にもよりますので建屋全体がダウンしているならば情シスくらいしか対処できないでしょうが、狭い範囲での障害でケーブルやルータ程度が原因であれば予備を置いておくだけで対応可能です。情シスを呼びつけるまでもありません。
呼びつけるにしても、どの範囲でどのような障害が生じているか現状を把握して説明すれば情シスも対応しやすいものを、「ネットに繋がらなくて仕事が出来ない!ちょっと見に来て!」と安易に言う人はどのようなネットワーク障害が生じているかも把握せずにすぐ情シスを呼び出しますが、それはとても迷惑だと思う次第です。
どこからどうネットワークを引いていて、ケーブルはどう配線されていて、どこにルータがあって、そもそも自組織のネットワークはどういう構成で、そういったことを把握していないから情シスへ頼るのでしょうが、当事者が知らない配線を情シスが把握しているわけもありません。
他所の部署に来て、床を引っぺがし、天井を確認し、机の下に潜って配線を確認している情シスを見ると、傍から見ていてなんとも悲しい気持ちになります。
難しい話ではなく、とても簡単なことです。
ネットワーク障害が起こったら、とりあえずどの範囲でネットワークが繋がらないかを確認して、一人が繋がらないのであればケーブルを疑いとりあえず交換してみる、エリアで繋がらないならばルータを疑いとりあえず交換してみる、そのためにルータの位置や配線図は記録しておき予備も用意しておく、それでも直らなかったりフロアや建屋全部が落ちているのであればその旨を情シスに説明して助けを請う、最低限そのくらいの手間を掛けても罰は当たらないでしょう。
困った時に頼る部署ではあるが
大抵の情シスはネットワークインフラの運用管理や異常時の復旧対応が業務分掌に含まれているとは思います。
含まれてはいますが、ちょっとネットに繋がらない程度の事態は異常ではなく、日常です。LANケーブルやルータは消耗品なのですから切れたり壊れたりするのは当たり前のことであって、異常なんて大それたものでもありません。専門職に頼るまでもないことです。
小さいことまでなんでもかんでも困った困ったと頼んでいると、いざ本当に困った時に使うリソースを確保できなくなります。基幹システムや業務システムの保守・運用こそが情シスの本業であり、リソースは可能な限りそちらに割けるようにしたほうが全体最適です。
そもそも情シスを保守屋やメンテ屋、ましてや便利屋として扱うのは現代ではあまり適切ではありません。
前述したように『今どきネットに繋がらないと仕事にならない』ことが普通であるということ、それは情シスの取り扱うシステムこそがビジネスの利益を生むための基盤であることを意味します。
つまり昨今の情シスは効率的で抜本的なシステム改善、さらに言えばビジネスモデルの変革を期待される部署です。今後のDXやAIなどIT技術の発展をふまえれば情シスの重要度は否応なしに増し続けます。だからこそ、机の下に潜ってルータなんかを探している場合ではありません。
もちろん困った時に頼るのは仕方がないことですが、そもそも困らないようにするのは他の部署の責任だと私は思っています。
時々見かける光景
「ネットに繋がらなくて仕事が出来ない!ちょっと見に来て!」
「はいはい、来ましたよ、どのPCが繋がらないですか?」
「これが繋がらない」
「隣の人のPCは繋がります?」
「分からない」
「ああ、繋がっていないですね。ルータはどこです?」
「分からない」
分からない、じゃないんですよ・・・
お偉いさんやベテランには求めないですが、せめて各所の若者は自部署のネットワークくらい把握しておいてあげてください。
パソコンのトラブルも同様に、壊れたならばまだしもちょっとしたトラブル程度であればいちいち情シスに頼らなくてもいいように仕組みを理解しておきましょう。
自分の仕事道具くらい自分で面倒を見るべきだ、と職人気質の技術屋としては思っています。
結言
当然のことですが、何事も専門職に任せた方が早いし確実なのは間違いありません。
ただ、情シスに限らず専門職とはその知識と技能でお金を貰えるだけの努力をしてきた人であり、その知識と能力には敬意が払われるべきです。専門外の人間がちょっと勉強すれば身に付く程度のことを安易に頼むようでは技術者軽視の謗りは免れないでしょう。
専門職にはもっと高度で付加価値の高い仕事を割り当てるべきです。
F1マシンでもスーパーに買い物へ行くことはできます、そしてそれは多大な無駄遣い以外の何物でもありません。