忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

変革時の反対意見を恐れないでほしい

 世の中は変化していくものであり、前動続行を繰り返すばかりでは停滞です。それは相対的には後退ですらあります。

 だからこそ個人や組織が生き延びるためには仕組みや手法などの変革が必須です。環境の変化に合わせて適応することこそが適者生存の理屈に沿います。

 

 そのため、私は変化や変革には肯定的です。

 伝統や歴史を軽んじるわけではありませんが、伝統や歴史を保守するためには何はさておき集団の生存戦略が実行されなければなりません。語り継ぐ主体が滅んでは後世に伝わらないのですから、伝統や歴史を墨守したいのだとしてもまずは生存が優先です。

 物事を変化することに対しては保守派、慎重派、進歩派、急進派がいます。

 公平を期すために先に私のポジションを述べておくならば、私は慎重派です。変化そのものは必要だと考えています。変化する世の中で不変であろうとすればそれは停滞としかなりません。しかしながら新しいものが必ずしも良いものとは限らないということも忘れてはいけません。古いから悪い、新しいから良いというのは勘違いです。私も新しい物は好きですが、それは新しいから好きなだけであってその物自体の良し悪しとは分けて考える必要があります。古いものにも良いところはありますので、温故知新で進めていけばよいと思っています。

 

 と、ここまではいつもの流れで述べてきましたが、少し調子を変えます。

 

 新しい方法を導入するのは結構です。それは構いません。

 ただ、変革時の反対意見を恐れて、こっそりと進めたりトップダウンで強行するようなことは止めて欲しいものです。

 反対意見には「とにかくただ反対」する勢力と「より良くするために反対」する勢力があり、十把一絡げに反対勢力を押さえつけると「より良くするための方法」すら失われてしまいます。

 

 なんの話かと言えば、職場で新しく導入された品質管理手法が最先端どころか昭和レベルの古典だったのです。

 せめて事前に下へ意見を伺ってもらえれば令和とは言わずとも平成レベルのもっとマシな手法を紹介できたというのに。時すでに遅し、担当者に意見具申をしてもすでに採用が決まったから変更はできないと拒絶される始末。

 目先のコンフリクトを避けて壮大なロスを発生させるこのような仕草は、実にムダです。

 

やり取りの記録

私「今度こんなのを始めるって聞いたが、なんだこれ?レベルが低いどころか今じゃ効果が無いと否定されてる理屈だぞ。この問題を解決した新しいやり方を採用しないと意味がないだろ」

担当「そうはいってもお金を払ってコンサルタントに教わった内容だから採用しないわけにはいかないんだ」

私「コンサルは当たり外れが大きいんだから馬鹿正直に全部採用するなよ。せめて事前に伝達してくれれば改善案や参考書を教えるのに」

担当「君のレベルならそうかもしれないけど、全体のレベルを考えればこの昭和レベルから始めたほうがいいんじゃないか?」

私「そういうのは積み重ねが必要な分野の発想だぞ。今からパソコンを導入をしますってなった時にPC-98やWindows95からは始めないだろ?マネジメント系も同じで、基本的には新しいものを採用したほうが現状に沿っているもんだ、わざわざ古いものを持ってくる必要はない」

担当「ただ、もう採用は決まったからさ、仕方がないんだ」

 

結言

 つまるところ、トップダウンへの著しい誤解があることが問題だと思うわけです。

 トップダウンというのはボトムの意見を無視してトップが勝手に決めることではありません。それはただの見切り発車です。

 トップが現場の反対を恐れて意見を聞かずに勝手に導入した仕組みは、大抵の場合上手く回らなくなります。なにせ現場に沿った仕組みになっていないのですから必然です。それが真っ当な方策であればまだしも、素っ頓狂な方策であればなおさらです。

 

 変革者は反対を恐れず、意見を公に問いかけて「より良い方法」を教えて貰いに行くくらいの謙虚さが欲しいものです。

 技術屋はデザインレビューによって反対意見を収集することに慣れているため、何かを新しく作ったり変更する場合にはそうすべきだと強く思います。

 

 

余談

 今回の話に関連した記事。

 気合や根性でポカミスを無くせる、なんて話は勘弁して欲しいものです。