忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

テキストコミュニケーションの限界と奥行き

 数日仕事を休んでから職場に行くと机の上もメールボックスも凄いことになっているので、逆にテンションが上がります。仕事が多い方がやる気になるのは良いことなのか悪いことなのかは一概に言えませんが、少なくとも燃え尽き症候群になりやすそうな性質ですので気を付ける必要がありそうです。

 

 そんな中、届いていたメールからの思索。

 

会議に呼ばれない関係者

 あるプロジェクトにおいて、プロジェクトを主幹している部署に対してちゃんと責任を持ったアクションを取るように連絡を送ったのが数か月前。ようやくメールの回答が来ていました。

 

「関係部署一同で打ち合わせをして経緯などの確認を行った結果、対応はそちらの部署で実行することとなりました」

 

 その打ち合わせ、呼ばれてないんですけども

 関係部署一同の会議に呼ばれていないのだから、もしかすると私の部署は関係者ではないのでは?

 

 学校で係・委員会を決める際の欠席裁判よりもひどい話です。押し付けるにしても、欠席どころか呼んですらいないのですから。

 さらにはメールCCにわざわざお偉いさんを並べてくる始末。明記していないまでも、もはやこれは決定事項だと言わんばかりの態度。

 

 もちろん責任の所在は主幹部署にあることを、議事録等のエビデンス情報を提示した上で回答しました。喧嘩を売る相手を間違えています。こちとら正論バトル上等の技術屋です。必要な情報はテキスト形式で残しておくことは当然の仕草です。

 まあ、あまり喧嘩腰にならないよう上司にはクギを刺されたので、オブラートに包んで回答しました。言葉にせずとも行間から言外のニュアンスを汲み取ってもらうことにしましょう。あえて言葉にしないこともテキストコミュニケーションの一つです

 

テキストコミュニケーションの限界と奥行き

 対面、電話、手紙、メール、チャット、映像など、コミュニケーション手段は様々ありますが、その中でもテキストコミュニケーションは存外に大きな比率を占めています。

 人のコミュニケーションにおけるウェイトは"視覚"と"聴覚"が主で"言語"は影響が弱いとされており、確かに単位時間当たりの情報量で言えば視覚聴覚が有意でしょう。それはインターネットの世界がテキストコンテンツから動画コンテンツへと移行していった流れを見ても正しいと言えます。

 

 とはいえ、テキストコミュニケーションにとって単位時間当たりの情報量が少ないことは欠点でありつつ利点でもあります。

 情報量が少ないということは少ないコストでコミュニケーションが可能であることを意味しており、必要な分の情報だけを伝達することが可能だからです。

 例えば動画による学習コンテンツなどが良い事例です。

 動画は単位時間当たりの情報量が多いため学習効果自体はとても高くなりますが、多くの視聴者に理解させるために必要な情報以外の情報が含まれていることから実際の学習量はそこまで多くありません。そのため解説情報などが無くとも情報を読み解けるような視聴者からすると、動画による学習コンテンツは内容が薄いものに感じられます。

 対してテキストコンテンツは情報量が少ないために読み解く能力が必要になりますが、その分必要な情報だけが伝達されるため、読み解く能力さえあれば学習量としては濃いものとなります。

 これらの違いは情報量と学習量が必ずしも比例するわけではないことを示す好例だと言えそうです。

 

 他にもテキストコミュニケーションは対面や映像と違って距離的・時間的制約が少なく、慣れた人であれば相当に短時間で受発信することが可能であることも利点です。情報量が少ないことは制約が少ないことでもあり、時間を同期する必要がある対面や、作成にも視聴にも時間が掛かる映像とは大きく異なる点だと言えます。

 テキストコミュニケーションは非同期的なため個人個人が望ましいタイミングで実行することができて、さらに自分の好きな速度でコミュニケーションが行えることから、時間的制約を好まない人からすれば最適な方法ですらあります。

 

 情報が少ないことは確かにテキストコミュニケーションの限界ではありますが、人類は紀元前からテキストコミュニケーションを駆使しており伊達に長いわけではありません。その積みあげてきた奥行きは深いものです。様々な言語表現が今なお開発されて変化していきつつあり、変化の余地があることはそれだけ奥深さがあることを意味していると言えるでしょう。

 

結言

 テキストコミュニケーションは対面や映像と比べれば情報量が少ないですが、それは切り口を変えてみれば利点でもあります。だからこそ現代でも人々は活発にテキストコミュニケーションを実施しています。

 相当な未来にテレパシーのような新たなコミュニケーション技術が発達するまでは今後もテキストコミュニケーションが無くなることはありませんので、上手く学び、上手く活用していきましょう。