私的な都合で物凄くメンタルが疲労しているのを感じるため、気分転換がてら、ゲーム『Minecraft』を久しぶりにやっています。およそ10年ぶりですので、本当に久しぶりです。
なにやら道具の両手持ちができるようになっていたり知らないブロックが山ほど増えていたり地下が深くなっていたりネザーの様相がさっぱり変わっていたりと、とても新鮮な気持ちで楽しんでいます。世界で最も売れたゲームの名は伊達じゃない面白さです。
「ダイヤ装備が揃ったからひとまずネザーを覗きに行こう」と軽い気持ちで行ったところ、出ましたところは過去の知識には無い謎の赤いキノコの森、とりあえずいくつかの道具を試して採取を試みていると多方面から襲い掛かってくる見覚えの無いブタとイノシシ、タコ殴りにされて這う這うの体でオーバーワールドに逃げ帰る私。恐ろしや、これが現代のネザーか。昔の地獄はもう少し平和だったのに。
とりあえず当時は無かったエンドシティ・エンドシップまでは行きましたので、そろそろ溜まった建築資材を使ってレッドストーン回路を活用した拠点建築に勤しむとします。今は牛小屋と小麦畑が併設された豆腐形の倉庫にベッドを置いて寝ているだけなので、デザインセンスは皆無ですがまともな拠点を構築していきましょう。
ちなみに、技術屋からするとこのゲーム最大の楽しみどころはレッドストーンによる自動装置作りです。仕事でマクロなどを組んで単純作業を自動化するような類のことが好きな人には沼です。
異論は認めます。
ただの感想文
雑な感想を述べていきますが、このゲームの楽しいところであり優れた点は"自由度"と"効率化"の絶妙なバランスだと考えています。
このゲームはオープンワールドで、様々な地形を旅して冒険してもいいですし、遠出せずに大きな建物を建築することも自由です。その気になれば最初の数分で作ることができる木や石の道具だけを使って大掛かりな建築をすることもできます。自由度は最初から極大です。
ただ、建築規模を拡大したり様々な建築資材を使って建築をしようとなるとさすがに時間が掛かり過ぎて苦痛になるため、移動手段の効率化や希少資源による道具の性能向上をする動機が生じます。
この『極めて高い自由度を”より満喫するため”に必要な効率化への動機付け』が実に適切なバランスでデザインされていることが『Minecraft』の優れた点だと思っています。
木や石では資源採集に時間が掛かり過ぎるから先に深層を掘り進めて鉄やダイヤを手に入れて作業速度を上げよう、長距離移動は面倒なので馬や鉄道を準備して移動時間を短縮しよう、羊毛を使った建築物を作るために大量の羊毛を集める必要があるから羊の牧場を先に建設して効率的に収集しよう、規模を拡大していくとそういった効率化が適度に求められます。
通常、自由度を高めるために必要な効率化は単純作業となってつまらないものです。しかしこのゲームはそれを強制されているわけではなく、効率化をしてもいいししなくてもいい、効率化のやり方もそれぞれ自由にやっていい、そういったやりたいようにやるための工夫が随所に施されています。
例えば羊毛を集めるにしても、各地を旅して羊から羊毛を刈ってきてもいいですし、武器を作って食料確保がてら羊を狩ってもいいですし、畑で食料を作って羊を繁殖する方法もあれば、羊毛を量産する機械装置を作ることさえも可能です。
過去にも記事にしていますが、人はやりたいことをやるよりもやりたいようにやることに楽しみを見出すものです。
読書好きの人が机に縛り付けられて無理やり読書をさせられても楽しめないように、コーヒー好きの人が無理やりコーヒーを口に流し込まれても嬉しくないように、人は「好きなことをやる」よりも「好きにやる」こと、つまりやりたいようにやることこそが面白さを感じることができます。
つまるところ、このゲームは効率化が極度に強制されない点で自由度が高く、しかし効率化をするための動機付けは充分に整備されており、さらに効率化のやり方はやりたいようにやることができます。この自由度と効率化のバランスが絶妙です。
なんというか、ただの箱庭ではなく、プレイヤーがやりたいようにやるための道筋が緻密に設計された箱であり、解き方が無数にある『からくり箱』のようなゲームだと言えます。それはまあ、面白くないわけがないでしょう。
結言
Minecraftは時間泥棒ゲームなのでほどほどにしておくつもりです。以前は友人とマルチサーバーで遊んでいたのでがっつりやりこんでいましたが、今回はまったりソロで遊びます。
ちなみに、このゲームで機械化・自動化を進めていくとアルゴリズミックな考え方や論理回路の理解を得られるため、下手なプログラミング教育をするよりも子どもにはMinecraftで遊ばせたほうが効率が良いのではないかと思う次第です。教育版マインクラフトも実際にあるわけですし。
余談
プレイしていた当時には無かったエリトラとシュルカーボックスの便利さ、革命的なまでの移動と輸送の効率化に、まるでタイムスリップしてきて初めて車を見た昔の人のような驚き方をしています。
なんとも、実に良いゲーム体験です。