忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

楽しく勉強するにはどうすればいいかと聞かれると、困る

 私は勉強が好きです。技術屋はそういう人が多いと思います。というよりも勉強が嫌いな技術屋は残念ながら技術屋を長く続けることは難しく、何処かしらで知識の壁を乗り越えることができずにリタイヤせざるを得なくなる場合があります。そういう人を幾人も見てきたからこそ少し厳しいことを言いますが、技術に興味が無いなら技術屋なんて商売はやらない方が良いです。

技術と技能の違い

 技術屋が用いるのはハード・ソフトを問わず工学技術(エンジニアリング)と括られています。工学の定義は「数学と自然科学を基礎とし、時には人文社会科学の知見を用いて、公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や環境を構築することを目的とする学問」です。なんだか堅苦しい表現ですね。

 それを果たす知識をエンジニアリングと呼び、それを扱う人をエンジニアと呼びます。つまりエンジニアには広範な知識が求められるものであり、技術とはまさに知識のことを意味します

 ちなみに技術に似た言葉として技能がありますが、これらは明確に区分けされています。技術は口伝や文書によって他者に伝達できるKnowledgeのことで、技能とは技術を実際に用いて作業を遂行するSkillを指します。

 単純な例を挙げれば、安全運転の仕方を勉強するのが技術、実際に安全運転をするのが技能です。技術は伝承が容易で勉強によって学ぶことができ、技能は伝承が難しく時間を掛けた訓練が必要であることが分かると思います。

楽しみ方って人それぞれじゃない?

 そんなわけで若手の技術屋には技術を学ぶこと、つまり勉強することを強く推しています。技術とは知識であり、知識を学ぶには勉強するしかないからです。この理屈はとてもシンプルです。

 しかしながらたまに聞かれるのです。

 「あんまり勉強好きじゃないんですよ、どうすれば楽しく勉強できますか?」

とかいう感じのことを。

 これ、とても困るんです。何を楽しいと思うかって絶望的なまでに人それぞれだと思います。農業シミュレータでコンバインを黙々と運転するのが楽しいと思う人もいれば、そういう単純作業は絶対に面白くないと感じる人もいます。人が絶賛する小説やドラマが思ったよりも楽しめないこともあるでしょうし、人に紹介されたゲームや漫画が全然ハマらないこともあるでしょう。

 勉強も同じで、何を楽しいと感じるかが人それぞれな以上、楽しく勉強する方法も人それぞれとしか言えないのです。

子どもと大人の勉強へのスタンスの違い

 勉強を楽しめない子どもがいるのは仕方がないと思います。興味の無い科目ですら学校や親から半強制的にやらされている以上、つまらないと思うのは至極自然な感情です。さらに言えば勉強のやり方まで指示されるのですから、反発したくなる気持ちはとてもよく分かります。

 ただ大人の場合は別です。ストレートな表現ですが、自分が楽しいと思う方法で好きにやればいいじゃん?と考えます。子どもと違って自分で学ぶべきものを自分で選択し、自分のやりやすいやり方で好きに勉強すればいいのです。特に技術屋なんて好きで選んでその道に入ってくるのですから、後は好きなやり方で勉強すればいいだけでしょう?

 成績の良い子どもはもちろん地頭が良い場合もありますが、自分なりにやりやすい勉強方法を身に付けている場合もあります。大人に求められているのはまさにこれです。自分がやりやすい方法を見つけることこそが楽しく勉強する秘訣です。

とはいえ指標を考えてみる

 勉強というと学校でやってきたアレ、教科書を開いて読んでノートに写して暗記する、みたいなアレですが、アレは受験用であって勉強のやり方の一例に過ぎません。勉強が楽しくないと考えている人はアレを勉強のやり方の全てだと思い込んでしまっているのかもしれません。正直アレはつまらないので、大人になったらいっそ投げ捨ててしまってもいいでしょう。あ、いや、役に立つときもあるのでやっぱり投げ捨てるのは止めておきましょうか。

 実際は勉強のやり方なんて自由です。人間心理を扱う学問では教科書を読む以外にも異なる人間を演じて理解を深めるシミュレーションを用いることがあります。ゲームのような感覚のものですがこれも立派な勉強方法です。イラストレーターの勉強はイラストの教科書を読むことだけではありませんよね?他の人の絵を見たり、様々なものを模写したり、インスピレーションを得るためにまったく異なるものに触れることももちろん勉強です。

 それこそ学校の先生が分かりやすいかもしれません。学校の先生は教材を作ったり授業のやり方を考えたり研修に行ったりと、教科書を暗記する以外にも様々な勉強をしていたはずです。あれこそが大人の勉強というものです。え、勉強してない先生もいた?・・・そういうのは忘れましょう。

まとめ

 勉強は楽しくやることが肝要です。そのほうが退屈せずに済みますし、楽しいほうが長続きするので結果が出やすくなります。楽しみ方は人それぞれなので自分に合った方法を見つけましょう。楽しいことをやって結果まで付いてくるとはなんてお得なんだと、私は思うのです。