忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

主義・イズムとレッテル貼りの害悪

 「先輩って保守的な政治志向なのに仕事ではグローバル化を推奨してますよね」

  そんな後輩にはポリティカルコンパスを紹介しておきました。政治と経済は基本的に別軸なのです。保守主義やグローバリズムなど様々にある「主義・イズム」について少し書いてみましょう。

 ちなみに私が分析サイトで分析すると大体のところで政治右派寄りのほぼ中道、経済左派寄りのほぼ中道になります。まあどっちの考え方もあるよねという機会主義者です。真ん中過ぎてつまらないのでもっと主義の尖った自己主張の強い人間になったほうがいいのかもしれません。

多すぎる主義・イズムが道具になっている

 weblio辞書で「主義の一覧」を見ると分かりますが、右派左派、グローバリズムや権威主義、菜食主義やアナーキズムなど、主義・イズムは驚くほど無数にあります。

主義の一覧 - その他の主義・方式 - 主義・方式 - 方式・規則 - 固有名詞の種類

 学者先生や専門家が物事の切り口として色々と考えていることは分かるのですが、正直なところ数が多すぎます。これでは自分がどの主義に当てはまるかを探しているだけで日が暮れてしまいます。

 また主義・イズムの名前だけが独り歩きをしてしまいレッテル貼りの道具になってしまっています。君は右翼だ、君は左翼だ、だから何だという話です。個々人がこれらの主義の型に厳密に嵌ることなどありえないわけで、「この点についてはこう思うがこっちはこう思う」と個別の考えを持っているのが普通です。

 しかしレッテルを貼るという行為は「こいつは何事においてもこう考えるはずだ」という印象操作をすることになります。それは相手個人を見ていないとても良くないやり方です。もっと攻撃的なものであれば、君は性差別をする差別主義者だ、などでしょう。当人が差別的であれ何であれこんなレッテルを貼られようものなら社会的に死んでしまいます。

主義・イズムと完全に合致した人間は居ない

  例えば私は前述したように政治右派寄りの中道、経済左派寄りの中道です。伝統や文化を保守しつつも変えるべきは変えて、経済的な弱者には援助が必要だと考えつつも自由経済を必要だと思う、穏健と革新の双方から良いところを組み合わせればいいと考える機会主義者です。しかし機会主義の中でも「一定の原理や原則よりもむしろ変化する状況に応じて行動すること」は当てはまりますが、「形勢を見て有利な側方に追従する」という考えには同意しません。私は状況に合致していて良いと私が考える方を応援するのであり、有利な方に追従する気はさらさらありません。

 つまるところ、機会主義・日和見主義においても当てはまるのは半分だけです。他にも私は熱烈な加点主義者ですがさすがに限度を超えた失敗は減点せざるを得ませんので、その際は減点主義者になります。

 他の主義・イズムにおいても同様で、人間が何らかの主義・イズムの思想と完全に合致することなどあり得ません。よって誰かにレッテルを貼るという行動は無意味です。

レッテル貼りは害悪となる

 自らにレッテルを貼って紹介するのはコミュニケーションの効率化として有用ではあります。私は菜食主義者ですと言えば、お肉は食べないんだねOKじゃあ野菜が美味しいレストランに行こうか、とスムーズに話が進むからです。

 しかし他者への攻撃を目的としたレッテル貼りは害悪でしかありません。前述したように主義・イズムに完全に合致する人は居ない以上、攻撃的なレッテル貼りは印象操作以外の何物でもないからです。ネットで顕著なのがネトウヨやサヨクのレッテル貼りでしょう。正直見ていて愉快ではありません。相手を型に嵌めて印象を誘導する目的しか存在しない、ただの悪意と同義だからです。

 そもそもとして【意見】【主義】【人格】は常に重なるものではありません。どのような主義を持っていようと人格が主義とイコールであるわけでもなく、どのような人格の人間でも立場によって意見が変わることだってあります。レッテル貼りはそれらを統括して否定するような行いであり、つまりはただの人格攻撃でしかないということです。それは言論において害悪でしかありませんのでやはり行うべきではありません。時々忘れられがちなことですが、【意見】と【人格】はイコールではないのです。意見一つ取ってその人の人格全てを否定するようなことは避けるべきです。

余談

 私が経済的なグローバル化を推奨しているのは日本にとって避けられないと考えているからです。日本は資源の乏しい国ですので他国と関わらないと現在の人口は支えられません。そうであれば鎖国のような閉じる方向ではなくイニシアティブを取れるよう積極的な行動をして国際的に有利な立ち位置を築くべきだと思うわけです。TPPなんかは日本が上手く主導出来ていてなかなか良かったと評価しています。

 しかし文化的なグローバル化はあまり好みではありません。どこに行っても英語と中国語、料理はハンバーガーとコーラと中華料理だけになってはつまらないでしょう、多様性があったほうが好みなので皆違って皆良いの精神のほうがいいです。うーん、これはグローバリストと言えるのかどうか・・・