忘れん坊の外部記憶域

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Mount & Blade II: Bannerlordが面白い、それだけの話

 

 先日ブログでも購入報告をしたゲームMount & Blade IIがやたらと面白いので、唐突にその話をします。

 普段ブログでゲームの話をしないのはそもそもそんなにゲームをしないからですが、ゲーム自体は好きです。

 

雑なゲーム紹介

Mount & Bladeシリーズはトルコのゲーム会社TaleWorlds Entertainmentの代表作で、ストラテジー/アクションRPGです。最新作のMount & Blade II: Bannerlordは2022年に正式版が発売されました。

 

 どんなゲームかを一言で言えば、ヨーロッパに似た地形のファンタジー世界において様々な国をモチーフとした架空の国々が群雄割拠している中、好き勝手なことをやって生きていくゲームです。

 中世ファンタジー世界が舞台ですが魔法は一切ありません。Mount(馬に乗る) & Blade(剣)の名が示す通り、剣がモノを言う騎士の世界です。

 自ら指揮を取り騎兵や歩兵を何百人もぶつけ合う戦闘パートは圧巻で、並のシミュレーションゲームよりもよほどよく出来ています。大手メーカーの大作と比較すれば荒削りなところは多々ありますが、個人的にはとても好みです。

Calradia

Lead The Charge

 

 このゲームは洋ゲーらしく自由度の高さが売りです。キャンペーンモードはありますがメインのストーリーラインがあるわけでもなく、各国各キャラクターの様々な会話やデータベースを読み解きながら徐々に世界を理解していくことになります。

 大した説明もなく急にぽつんと知らない世界に一人立たされて、後はもう何をしても自由。基本的には戦闘パートがメインではありますが、各地を巡って交易で生計を立てても良し、悪事を働いて路地裏の覇者となっても良し、兵隊を集めて傭兵として世界中で戦争に参加しても良し、国家に仕官して貴族として領地経営をしても良し、自ら建国して諸侯を従えて世界征服しても良しです。

 自由度がとても高くゲーム中で要素を説明し切れないため最初は不親切に感じますし、なんでもやれるせいで逆に何からやればいいか分かりませんが、慣れてくればやりたいことをやりたいようにできます。

 

ファーストプレイ

 この手のゲームにしては最初のチュートリアルが意外と親切で「仲間を集めずに一人で外を出歩くと賊に殺される」「食糧を持っていないと仲間は付いてこない」と最低限のことは教えてもらえます。

 そのため最初は近場の村に行って、いつの間にやら持っていたお金を使って安価な兵士と最低限の食糧を購入するところからゲームが始まります。一人で生き抜ける世界ではないため、まずは人身売買から始めることになります。 食べ物で子分を従えるあたり、気分は桃太郎です。

 ちなみに食糧3つ分くらいの価格で一番安い兵隊が一人買えます。命が安いです。物価や経済、交易や隊商の概念があるゲームですので、地域によっては食糧よりも兵隊の命のほうが安くなります。

 

 兵隊と食糧を購入すると手持ちが心許なくなりますし、兵隊には飯を食わせて賃金を払う必要があります。

 そのため、その辺をふらついている無法者の集団を追い回して囲んでボコボコにしてお金と装備と食糧を剥ぎ取ります。

 どっちが無法者か分かったものではありませんが、こちらが弱い場合は向こうから襲ってきますので、お相子です。どうせこの世界でなにをして生きていくにせよ無尽蔵に出没する悪人を否応なしに返り討ちにできるだけの力は必要不可欠になりますので、この程度は小手調べです。

 ちなみにこの段階で山や海へ迂闊に近寄って「山の盗賊」や「海の盗賊」に出くわすとあっさり返り討ちにあいます。山賊や海賊は一丁前に武器や防具、そして弓矢を持っているためです。最低限の盾や防具を手に入れてからでなければ接敵する前に倒されてしまいます。

 対してどこにでも出没する「略奪者」はロクな武装も持たず着の身着のまま投石で攻撃してくる最弱の存在なため、まずは彼らが持っている貧弱な武器やちょっとした防具を頂戴することが最適解です。

 この手の自由度の高いゲームでは『今現在の能力で倒せる相手』を適切に察知することが重要なのです。

 

 羅生門ばりに略奪者の装備をひたすら略奪し、余った装備は二束三文で売り払い、当人たちも捕まえて犯罪者として人買いに売り飛ばして端金を掴んでいると、そのうち街で多少まともな装備を買うお金が溜まります。

 そこまで進めば今度は装備を整えて山賊や海賊狩りです。商売をするにせよ武勇で成り上がるにせよまだまだ元手と装備と兵隊が足りませんので、元手は悪人からかっぱぐことが基本となります。

 なにせ健全に交易をして金稼ぎをしようと思っても、世界のどこで何が安く売られていてどこに持って行けば高く売れるのかが分からないのでは商売のしようがありません。まずは世界を歩き回り物品の相場を調べなければならず、そのためにはそこらに出没して襲い掛かってくる賊を成敗できるだけの力が必要です。

 

 気が付けば、盗賊から奪った装備一式を着て各地に出没する主人公。

 熊の頭を被り、熊の毛皮のファーを纏い、ボロ切れ一歩手前の服を着て貧弱な槍と曲がった弓と木の板のような盾を担いで駄馬に跨る主人公。

 どう見ても盗賊のお仲間です。

 でもこの辺りの装備を整えている段階がRPGで一番楽しい時間だと思っています。

 

 世界を歩き回るようになった頃には賊など恐れるに足らない存在となりますが、まだまだお金の問題は付き纏います。なにせ最初は二束三文で叩き売られていた新兵がいつの間にやら立派な装備を纏い、それ相応の給料を求めてくるようになるためです。今度は兵隊の給金が固定費として重く圧し掛かります。賊を売り払ったお金では到底おっつきません。

 各地で人助けをしてお金をもらうことはできますが、いつでも都合よくこちらが解決できる困りごとを抱えた人がいるわけでもなく、悪事に手を染めないのであれば安定した別の収入源が必要です。

 なお、この辺りになると賊の身ぐるみを剥いで装備も賊も売り飛ばすことに慣れ切ってくるので、その程度のことは悪事だとは思わなくなります。

 

 この段階で重要になるのが就職です。

 ちなみに傭兵以外の就職先はありません。乱世ですので。

 どこかの国の傭兵になると、仕えた国から固定給+歩合給がもらえるようになります。固定給は自前の兵隊に払っている給料のちょっとした補填程度しか貰えませんが、戦地で活躍すればそこそこの歩合給が出ますので、馬車馬のように各地の戦地を駆け抜けていくことでなんとか糊口を凌ぎ兵隊を養うことができます。

 実際は歩合給でも足りないので、倒した敵の正規兵の装備をかっぱらって売り捌き、捉えた敵兵は人買いへ売り飛ばします。やることは賊の時と同じです。貴族を捉えられればラッキーで、身代金まで手に入ります。

 これらはこの世界では悪事ではありませんし、こちらも負けて捕えられたら人買いに売られますので、対等です。

 世界中のどこかしらで常にドンパチが繰り広げられているため、傭兵稼業は常に需要があります。世界の戦地を回るついでに各地の特産品を買い込んで転売すれば一石二鳥です。

 現代基準からすれば、どう考えてもただの大悪党かと思います。

 

 戦地を駆け巡り傭兵として名声を高めていくと、王様直々にヘッドハンティングのオファーが来ます。国へ仕官して正社員になるも自由、傭兵としてフリーランスで生きるのも自由です。

 とりあえず軽い気持ちでオファーを受けて正社員になって戦地へ出てみると、何故かやたらと気前良く戦争で奪った隣国の領地が次から次へとプレゼントされます。中世ヨーロッパがモチーフなので王様の一存ではなく諸侯・大貴族の合議で決まるのですが、ちゃんと戦地で活躍していればほぼ満場一致で領地をもらうことができます。

 奪ったばかりの領地は当然ながら戦火によって荒廃しています。民衆の反発を抑えて治安を回復しようと統治に金銭と人員を投入するも、そこは未だ戦争が続く中での最前線です。土地を取り戻そうと次から次へと敵軍が襲い掛かり、補充する間もなく摩耗していく自前の兵隊と底をつく預金残高と下がっていく住民の忠誠心。まだ影響力が無いため援軍も呼べません。王様の策略か、新参者に対する大貴族たちの陰謀か、ただのゲームシステムの都合か、いずれにせよ前線で磨り潰されていきます。

 最後はじり貧となって兵隊を維持できなくなり逃げ出されたところで諦めました。

 

 自由度の高いゲームはこんなバッドエンドもあり得るので、楽しいです。

 

結言

 今は二人目のキャラクターを作って遊んでいます。

 金策に慣れてお金には困らなくなったので、今度は安易に仕官せずフリーランスのまま、将来の領地経営のための下地として優れた官僚を育てている段階です。いずれは領地を切り取って建国宣言してみようと思います。

 そんな感じで、まだまだしばらくは楽しめそうです。

 

 

余談

 ちなみに、コーエーテクモの無双シリーズのように武器を担いで騎馬へ乗り数百の敵が待ち受ける敵地へ一騎駆けすることもできますが、それをやると雨のように降り注ぐ矢や歩兵の槍衾によってあっという間にお陀仏です。攻城戦でも率先して城壁を梯子で登っていったり門を壊すための破城槌に取り付くと真っ先に弓兵やバリスタに射抜かれます。

 戦国時代に「一番槍」が武勇の証と恩賞の対象であった理由が分かるようになる。そんなリアリティのあるゲームです。