忘れん坊の外部記憶域

主に時事やビジネス、政治経済や興味を持ったことについて書き散らしています。

他国から見た憲法の存在

 政治に関しても時々話題にする私ですが、あまり触れたくない話題もあります。人それぞれ意見が少しずつ異なるような話題です。意見が紅白はっきり分かれていれば両論併記しやすいのですが、憲法やフェミニズム、経済のようなテーマは是々非々なところが多々あり総論をまとめにくく、さらには個々人の主義主張の琴線に触れやすいことから基本的には意見表明は控え気味、というよりも怯懦になってしまいます。

 今回は恐る恐るではありますが憲法、特に9条にも関連する考えを話題にします。護憲・改憲というよりは、個人的に気になっている憲法議論のフレームについて技術屋の視点から述べてみます。

憲法の立ち位置

 誤解を恐れずに言えば、憲法はハウスルール、ローカルルールです。国家統治の根本規範を定めたものであり、それぞれの国によって意味合いや立ち位置は異なります。

 各国の憲法における擁護義務は当然ながら各国内の範囲で定められています。アメリカや中国の憲法を日本国が強要されるようなことはありません。擁護義務に関する詳細は憲法学者の先生方にお任せするような内容ですが、日本であれば第99条における憲法尊重擁護義務として次のように規定されています。

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 世界中の人々の多くは自国の憲法についてはある程度知っていても他国の憲法についてはあまり知りません。私もいくつかの国の憲法は読んだことがありますが、恥ずかしながら数文程度しか覚えていません。

 例えば食事の時間やお風呂掃除、ゴミ出しのような家庭内ルールについてご近所さんと相談して決める必要はないように、憲法というハウスルールについても外に出す必要は無いでしょう。ルールが適用される人々の範囲内で決めればよいと思います。しかしながら玄関先を掃除するときのルールのような隣家と関わる内容については多少の協議や忖度、相談が必要になることもあります。このような場合はプロダクトアウトの考えだけではなくマーケットインの考えもすべきではないかと思うのです。

プロダクトアウトとマーケットイン

 一般的なビジネス用語のため簡潔に要約すると、プロダクトアウトとは技術や設備といった提供側からの視点で商品開発や販売を行う活動で、対してマーケットインは市場や購買者の視点で買い手が求めるものを提供しようとする活動です。非常に簡潔に言ってしまえば「こちらが売りたいものを提供する」のがプロダクトアウト、「あちらが求めているものを提供する」のがマーケットインとなります。

憲法議論はどちらに拠って立つべきか

 現在日本で見かける憲法議論、護憲改憲論争の多くはプロダクトアウトの考えに思われます。私たちはどうしたいかという内々の事情や感情に沿って私たちだけの都合で考えているということです。

 しかし憲法9条のような他国にも影響がある憲法については玄関先の掃除ルールと同様、他国の事情や世界情勢についても考慮して議論の俎上に上げるべきではないでしょうか。うちがこうしたいからこうするんだと押し付けるようなやり方はあまり穏健ではありません。私たちはこうしたいだけでなく、世の中はどうなっていてよそはどうして欲しいのかというマーケットインの視点が議論上にあったほうが日本の国際社会での立ち位置を正しく定められると考えます。また、その上であれば護憲・改憲どちらのメリットデメリットも判断しやすくなります。内々だけでは「こうしたい、ああしたい」という感情的な議論しかできません。外の環境を見ることで「こうすべき、ああすべき」という別の物差しを用意することができるでしょう。

雑感

 私は他国の憲法をあまり知りません。時々疑問に思うのですが、私が無知なだけで皆もっと知っているものなのでしょうか。日本の憲法、例えば憲法9条についても他国では知っている人のほうが少ないのではと思うのは私が物知らずだからでしょうか。日本国内では憲法議論は大変に重々しく語られることが多いのですが、他国からしたら他所の国の憲法にはそんなに興味が無いのではないかと思っています。憲法はそれぞれの国のハウスルールなのですからもう少し穏健で軽妙に議論できるようになったほうがいいのではないかと愚考している次第です。