忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

人は知らないものを探すことはできない:新人や若手にこそ5Sの整理・整頓が必要

私「これの根拠となるデータが欲しいな、確か残していたはずだから探してもらえるかな?」

若手「はい、分かりました」

私(探し物の練習にはちょうどいいかな、他所さんで育成している若手だから下手に口出しせずに様子見してみよう)

私(紙を探すと10分くらいで、サーバのファイル構成を把握していれば5分くらいかな。まあ検索すれば10秒だけど、そこまでの早さを求めるのはまだ時期尚早かも)

 

30分後。

 

若手「データ見つかりました」

私「さ、さんきゅー」

私(うへぇ、失敗した、指導すべきだった)

 

5S

 5S(ごエス)とは整理・整頓・清掃・清潔・躾を意味する言葉・スローガンです。様々な業界で用いられており、特に製造業では誰もが知っている言葉でしょう。知らない人はモグリです。

 5Sの解説は様々な書籍やwebサイトで溢れ切っていますのでいちいち説明するまでもないですが、大雑把にまとめれば次のようなものです。

  • 整理:必要と不要に分けて、不要なものを捨てる
  • 整頓:定置化して探す時間を無くす
  • 清掃:綺麗にして異常の発生を検知しやすくする
  • 清潔:上記3つの状態を維持する
  • 躾:これらを習慣化する

 不要なものを捨てることによる空間の有効活用、定置化による無駄な探索時間の削減、日々の清掃による異常の早期検知と問題の初期消火など、5Sの単純なスローガンの中には量産性の維持やコスト削減など品質向上に繋がる多くのメリットが含まれています。そのため5Sが習慣付いている現場は他所と比較すると高い生産性と利益率を実現していることが多いものです。

 

整理・整頓の副次的な教育効果

 個人的に、5Sの中でも整理・整頓を新人や若手に率先してやらせることを推奨します

 新人や若手に整理させようとすると「彼らにはまだ必要なものと不要なものの区別が付かないから整理させるのは難しいよ」と反対する声が上がることがありますが、ここで重要なのは不要なものを捨てることではなく、必要なものと不要なものを区別する能力を養うことでもなく、全体像を把握させることにあります

 新人や若手は職場に何があるかをまだ把握していません。参考とすべき過去の資料も、所定の業務で役立つ道具も、理解しておくべきバックデータも、その存在自体を知りません。

 そして当たり前のことですが人は知らないものを探すことはできません。なにせ存在自体を知らないのですから、それを活用するどころか探すことすら欠片も浮かばないでしょう。

 

 知らないことは仕事を効率的に行う上で大きな阻害要因となります。単純に時間が掛かってしまったり、車輪の再発明をしてしまったり、冒頭のように在ると言われても探すことに多大な時間を浪費してしまったり、様々です。

 だからこそ新人や若手にこそ整理・整頓をさせて職場にあるモノの全体像を把握させることが重要だと考えています。

 そこにあるものがいつどのような役に立つか、そういったことは追って学べばよく、それよりもまずは何がその場に存在しているかを理解することが最優先です。

 

結言

 事務作業、設計、接客、営業、どのような仕事であろうと効率を上げる基本は模倣です。オリジナルのやり方で先達に追いつく必要はなく、優れた先達のやり方を真似して追いつくことがまずは求められます。独自性や個性が期待されるのはその先へ進む段階です。

 そして模倣するためには模倣の元を知っておく必要があり、整理・整頓はその全体像を把握することに極めて役立ちます。