忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

ロボットアームのように生きるのだ

 

 軸を複数持つ、という意味で。

 

 ビックリするほどピンとこないタイトルかもしれませんが、私的にはしっくりきます。腕がそれぞれ肩・肘・手首に回転軸を持っているのは、それが便利だからです。

 ええ、まあ、何を言っているのか分からないと思うので説明していきます。

 

リースマンの援用

 私のブログではリースマンの文化タイプを時々援用しています。

 リースマンの類型は「社会的性格」という概念で、個人の性格ではなく社会全体の支配的傾向を示したものですが、存外に個人の指向や性格に対しても敷衍しやすいと思っているため、よく使っています。

 

 リースマンは社会的性格を「伝統指向型」「内部指向型」「他人指向型」とした3つの類型に区分しました。

 

 伝統指向型は慣習・宗教・地域共同体などの伝統に従って行動するタイプです。農業社会や封建社会に多く見られる、古典的ですが堅牢な指向と言えます。

 伝統指向型は社会的安定と秩序を維持することに長けており、集団への帰属意識が強く孤立も生じにくいです。また価値観や思想が共有されやすく、分断やすれ違いのリスクもあまりありません。反面、変化や革新には適応し辛く、個人の自由や創造性も抑制される傾向を持ち、社会の停滞が引き起こされがちです。

 

 内部指向型は幼少期に内面化された価値観や自身の羅針盤に従って行動するタイプです。産業革命期に"個人"の概念が台頭した近代市民社会で広がりました。

 内部指向型は自律的で主体性が強く長期的な目標に基づいて努力することができるため、革新や挑戦を推進する力を持っています。その反面、自己中心的な価値観を持ちやすく他者との協調を軽視する傾向を持っており、さらに固定化された価値観は柔軟性を欠く場合があります。

 

 他人指向型は周囲の期待や流行、仲間集団の評価に敏感に反応して行動するタイプです。戦後の大衆社会や現代の消費社会に典型的な形態となります。

 他人指向型は周囲との協調性が高く社会的ネットワークの活用に長けており、流行や環境変化にも敏感で適応力があります。その反面、他者依存的で自己喪失に陥りやすく流行に振り回されることもあり、内面的な安定や一貫性に欠ける特性です。

 

 個人的に分かりやすいと思っている例え話として、服を選ぶ時の考え方をしましょう。

 伝統指向型は「親や地域、文化や年相応などの習慣に従って、伝統的に正しいと思われる服」を選びます。

 内部指向型は「自分の美学に従って、好きなスタイルの服」を好みます。

 他人指向型は「友人間やテレビで流行っている服」を求めます。

 どれが正しいという訳ではなく、単純に指針の違いです。

 

軸の概念と使い分け

 リースマンの理論は1950年とかなり古く、今時の性格分類であれば「自分軸」「他人軸」「社会軸」などで区分するほうが一般的かもしれません。

 ピッタリ対応するわけではないものの、伝統指向型≒社会軸、内部指向型≒自分軸、他人指向型≒他人軸と捉えてよいでしょう。

 

 カウンセリングや心理学界隈ではどちらかと言えば「自分軸で生きよう」とした主張が多いかと思っています。

 実際、内部指向型≒自分軸は他人軸と比較して外乱に強いです。他者の評価や周囲の変化に左右されない主体性は精神的な安定と一貫性を保つことができますし、自己基準で満足を得られるため承認欲求の奴隷とならずに済みます。

 とはいえ、自分軸に特化することは社会的孤立のリスクを高めたり柔軟性の欠如を引き起こしたり自己中心的になったり優れた視点や価値を見落とす危険があったりと、色々不都合もあります。

 私自身、強烈なまでの内部指向型≒自分軸で生きる人間のため、社会性を失うことを少し恐れている次第です。

 
 ここで発想の転換です。
 軸というと、コマの回転軸のように一人が一つ持つ芯のようなものだと考えがちですが、別に複数の軸を持ったって構わないでしょう
 そう、それこそロボットアームが肩・肘・手首に持つサーボモーターのようにです。
 
 肩は腕の基盤であり、最も大きな可動域を持つ回転軸です。腕が働く時の方向性や主体性を決定する関節であり、ここが安定していないと全体の動きが不安定になってしまいます。
 どう動くかの方向性を決めるこの関節の回転軸には自分軸を割り当てましょう。
 
 肘はてこの支点であり、力の伝達や距離感を調整する機能を持った回転軸です。
 この関節の回転軸には他人軸を割り当てるのがちょうど良さそうです。肘の曲げ伸ばしによって手を近付けたり遠ざけたりするように、人間関係も距離感や力加減を他人軸で調整していきましょう。
 
 手首は最も細かい調整を担っていて、全体の方向性は決められない代わりに精密な操作を可能にする回転軸です。
 集団や制度の中で自分を通すためには微調整が不可欠であり、そのための柔軟性と社会性の基軸となるこの関節には社会軸を割り当てるのが適していそうです。
 
 肩(自分軸)が方向性を決めて、
 肘(他人軸)が距離や力のバランスを調整し、
 手首(社会軸)が社会との微調整を行う。

 このように複数の軸を持って上手く使い分けること、そう意識付けると色々と有益なのではないかと考えています。

 

結言

 軸が一本しかないと、何かあった時にふらついてしまったり倒れてしまうかもしれません。

 しかしロボットアームのように複数の回転軸を持ち、土台を自分軸でかっちりと固定した上で別の軸によって微調整すれば安定しますし、むしろ自分軸が求めるところを上手く通すことができるようになります

 「ロボットアームのように生きる」とは、そういうことです。

 実に伝わりにくいですし、もっと良い表現があるような気がしますが、これで押し通します。(自分軸)