忘れん坊の外部記憶域

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OJTは仕事の質を漸進的に劣化させていく

 以前に少し書いたことですが、企業には従業員に教育をする義務はありません。

 とはいえ新卒を雇って教育も無しに仕事をさせるのは無理ですので、どのような規模の会社でも多少は教育を施します。まったく教育しないのはさすがにブラック企業くらいです。そこそこの規模以上の会社であれば教育部門(研修部門や人材開発部門)も持っています。

企業内教育

 企業内教育の三本柱は「OJT」「Off-JT」「SD(自己啓発)」と言われていますが、三本柱の中ではメインをOJTとしている企業が多いでしょう。

 OJTは適切に活用すれば実に有効な教育方法です。実際の現場で教育をするため直接的な知識を得ることができますし、トレーナーと新人を合わせて育てることができます。なんといってもOff-JTほど教育コストが掛かりません。現場に丸投げすれば帳簿的にはタダです!

OJTへの個人的な感想 

 ということで教育部門に勤める方には申し訳ないですが、今回は現場の生の声的な感じの意見を述べてみます。といっても述べたいことは記事タイトル通りのことです。もちろん各組織によってやり方が違うため一概には言えませんが、教育コストをそれほど支払っていない比較的一般的な企業に勤める人間としての意見です。私個人というよりはまあ、全体的な意見です・・・嘘ではないです、はい。

OJTを押し付けられた現場のこちらとしてはメリットなんて皆無、ゼロ、絶無、一切無し!こちとら人員不足で猫の手だって借りたいほど忙しいんだ!忙しい時に欲しいのは即戦力であって、「人を連れてきたぞー」とか言って新人を連れてこられたってしばらくは教育時間分マイナス人員だということを理解してもらいたい!さらにはコミュニケーションパスも増えて忙しさが倍増!ストレスでイラついた上司や先輩に新人は怯えてしまい質問がしにくくなる悪循環!あれもこれも教えたいが、とりあえず手が回らないから手順書を読んで単純で時間の掛かる試験をひたすらやっててくれ!

OJTにおける最大のデメリット

 まあ、そんなわけで、どんなわけかは分かりませんが、余裕の無い現場に新人を送り込んでも教育はロクに機能しません。なによりも問題なのは一番最後に書いた部分、手順書(マニュアル)を読んで仕事をさせるというところです。

 確かにマニュアルを読めばそこに書かれている仕事はできるようになります。しばらくすれば一見仕事ができる人間の完成です。

 しかしマニュアルに書かれていることはノウハウ(know-how)のみであり、なぜそれをやる必要があるのかというノウホワイ(know-why)が含まれていません。マニュアルで育った新人は適切なノウホワイ教育を受けられなかった結果、書かれたことしかできない、応用力の無い、指示待ちの人間になります。今時の若者が指示待ちなのではなく、若者を指示待ちにしているのはこのような荒廃したOJTの現場によるものです。

 そんな若者が中堅となり、新人に教育をするときはどうするか。やはり自分が教わったようにマニュアルによって教育をしようとします。仕事のやり方は変わっていくため新人向けに新しく作ったマニュアルには、教わっていないのですから当然ノウホワイが含まれていません。

 さらに言うと、マニュアルを作るためにはそれ以上に仕事を理解している必要があります。100のマニュアルを作るには200の知識が必要です。しかしマニュアルで育った人間は100までしか育っていないため、作れるマニュアルはせいぜい50です。そんなマニュアルで育った新人が次に作るマニュアルは25、その次は・・・

 こうやって仕事の質はOJTによって漸進的に劣化していくこととなります。

対策

 唯一の対策はOff-JTによるノウホワイ教育の時間を作ることです。つまりコストを払って余裕を作り、時間を掛けて教育する以外にありません。荒れ果てた現場の人員に鞭を打っても無い袖は振れないのですから、コストを支払う以外に無いのです。「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」とは言いますが、教育に払う金が足らぬというのであれば工夫してもらいたいものです。