忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

誤った情報が延々と流れ続ける事例の観測記録

 

 誤った情報の拡散になってしまうので引用はしませんが、「日本が国連から貧困国に認定された」と間違った情報が書かれた画像がありまして、その画像を用いてSNSで騒ぐ方がいらっしゃる度に以下の記事のアクセス数がちょっと伸びる、そんなループが不定期に生じています。

 最初はまあそんなものだろうと思っていましたが、気付けばもう2年以上前の記事です。つまりその誤った情報が書かれた画像も2年以上ネット上に出回り続けていることになります。

 その画像の誤りについてはいくつかの側面から解説している記事が私のブログも含めてネット上にありますし、そもそも英語の元データを読めば間違えていることは明白です。すごく単純な話として、hungerを貧困と訳すことはできません。明らかに誤訳・誤読です。

 

 SNSでその画像が取り上げられる度に元データや解説ブログが引用されて誤りを指摘されていますが、それでも延々と誤った情報が回り続ける、情報修正の難しさを示す一つの事例となっており興味深かったので、冒頭の記事のアクセス数が上がる度にSNSを観測しています。

 今回はそんな悪趣味に関する日記です。

 

観測結果

 誤った情報の流通を2年ほど観察してみましたが、いくつかの特徴や傾向がありそうでした。

 まず、誤った情報の震源地は発信力の強いインフルエンサーのツイートですが、不定期に盛り上がる原因となるツイートは常に別の誰かです。前者を一次情報として、その情報を時間差で見た人が二次情報として発信しているため不定期に盛り上がるのでしょう。

 一次情報の発信者たちはその画像を消してはいないものの、その画像について度々言及するような行動は見せていません。繰り返しネット上で話題となるのは別の人が二次情報を発信した時だけです。

 つまり『誤っていることを認めずに間違えた情報を延々と発信し続ける人がいる』といったありがちな印象は誤りで、実際は指摘をされれば人は誤りを認める、或いは誤りを認めないとしても世間から受け入れられないことを認識して繰り返し発信することは無くなると言えます。

 もう少し言い換えれば、間違えた人が間違え続けるのではなく、間違える人が次々と現れる、そんな感じです。

 

 二次情報の発信を観察すると、ほぼ全てが引用ツイートではなく、画像を自分で貼って投稿していました。

 つまり情報を拡散することよりもセンセーショナルな情報を発信することで自身の閲覧数を増やすことが主目的かと思われます。

 そういった人からすれば重要なのは情報のセンセーショナル度合いであって、元のツイートにぶら下がっている修正情報はそもそも見ていないのでしょう。

 つまり誤った情報が何度もネット上で流れるのは単純な理由で、そもそも情報の正誤をそこまで重視していない人がたくさんいるためです。

 実に単純な理屈だと言えます。

 

 ちなみに情報の正誤に対する認識が根本的に異なっている人々が居ることは強く認知しておく必要があります。オルタナティブ・ファクト、代替的事実と呼ばれるそれを好む人は、意外と規模が大きいものです。

 

結言

 二次情報の発信を止める方法としては、誤っている一次情報を消してしまえばいいのではないかと安易に考えたいものですが、ネット上では消しても増えるものですのであまり効果的ではないでしょう。むしろ下手に消せばセンセーショナル度合が増してしまい、より悪影響をもたらしかねません。

 この手の対策で発信を止めることは現実的ではないので、受信側に情報を与える方向の対策が効果的です。

 そしてそれはいずれ技術革新でなんとかなることだと思っています。

 例えばもっと機械がお利口になれば、ある情報発信に対して類似情報を検索して修正情報を常に紐付けることができるようになるでしょう。そうすれば二次情報の拡散に合わせて修正情報も同程度に拡散されます。

 要するに現在は人力で行われているコミュニティノートを機械的にも並行して行えるようになれば、恐らく効果的です。