私「昨日の会議のせいで風邪をひきました」
同僚「は?」
私「より具体的に言うと、冷や汗で風邪をひきました」
同僚「は?」
私「本部長や役員もいる審査会で、20人くらいに囲まれた中で、企画書の不備を工場長から長時間ガン詰めされたおかげで冷や汗が凄かったんすよ、会議後半は汗が冷えちゃって寒さに震えていました」
同僚「それは、お疲れ様」
元上司だからこっちの強度も把握されているのでギリギリまで絞り上げてくるのがまた恐ろしくも優しくて怖いです。口調が荒い訳ではなく、思考を強要する質問をむしろ丁寧に積み重ねていく詰め方は、明らかに「教育目的」なのが肌感覚で分かるので優しさを感じます。しんどいですけど。
言ってることは正しいし、やり方も正しい。相手のことをちゃんと考えていて、しんどいものの意味も価値も理解できるので受け入れられる。
出世してきた優秀な人はこれだから困ります、手馴れてやがりますので。
上に行くほど強くなる仕組み
世の中では「なんであんな奴が出世するんだ」的なことがあちこちでよく話題となっていますが、弊社はある程度はっきりしており、中学校の部活動で部長を決める、あるいは漫画やゲームの魔王軍のように「強い奴、できる奴が偉くなるメソッド」を採用していますので、役職者は大抵下っ端よりも仕事ができます。
プレイヤーとして優秀な人が必ずしもマネージャーやリーダー、或いはコーチャーやモチベーターに適性があるかと言えばもちろんそうとは限りませんので、仕事ができないというよりもマネージャーとしての適性が足りないパターンでの「なんであんな奴が出世するんだ」は生じることがあります。
とはいえ部下の仕事を照査するためにはプレイヤーとしての技量が不可欠ですので、プレイヤーとして優秀な人が偉くなることはなんだかんだ合理的です。それに少なくとも仕事ができることによって人を引っ張るリーダーシップは期待できます。技量に基づいたコーチングができる可能性も高いですし、仕事ができるようになるまで研鑽を積んできた経験からモチベーションを維持する方法を心得ていると考えられます。それらを他者に上手く伝達できる人かどうかは確実ではないものの、あまりに適性が無かった場合でもシンプルに降格させてプレイヤーに戻すだけです。
もちろん最初からプレイヤーとマネージャーを分離して育成することも一つの手ではあります。マネジメントを専門的に学んだ人がマネージャーになることは正しく合理的でしょう。
ただ、それは社会の階層を固定化する結果となりますので、未だに身分がはっきりと区分されている欧米のような分断をもたらしかねません。
そういった差別の問題を生じさせず社会的流動性を維持するためには「強い奴、できる奴が偉くなるメソッド」が妥当であり、違う形での合理性だと考えます。
結言
この仕組みが適切に機能するためには多少人情や面子を無視して「適性が無かった人を容赦なく降格させる」ことが不可欠です。弊社でも管理職になったものの数年で平社員に戻される人がいますので、人によっては厳しい仕組みだと言えます。
ただ、そういった選別の結果、役職者は皆仕事ができる上にリーダーやコーチャーとしての能力も持っていることが証明された人だけとなり、「なんであんな奴が出世するんだ」といった不満は生じなくなります。
大変ではありますが、まあ健全です。