忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

人手不足に関する雑感

 

 ピンチな時は休みが必要だが、休むとピンチがさらにピンチになる悪循環。

 

人手不足

 根本的な原因はバッファ不足でしょう。より率直に言えば人手不足です。

 昨今人手が余っている業界などそうそうありませんが、人手不足は実に致命的です。人手が多すぎることによるコストよりも人手が足りないことのほうが遥かにデメリットが多く、様々な業界が人手不足に喘いでいるのもむべなるかな。

 交代人員がいなければ仕事の量も責任も全て個人に多い被さり心身に宜しくありません。

 交代人員がいなければ仕事のマニュアル化も技能伝承も積極的に行われず、仕事の属人化が進みます。

 大抵の仕事は常に一定量のタスクが生じるものではなく、必ず波が生じます。よって平均値で人員を計算すると波が高い時に負荷が限界を超える可能性があります。

 そもそも単純作業ですら人を単純な数字で捉えては試算を見誤りますし、それが知的労働であればなおさらです。ある人が一人でできることであっても他の人がやれば複数人必要なことがあるように、人月は神話です。

 

 他にも人手不足の問題は様々あげることができるでしょう。無い袖は振れず、居ない人は雇えないのはまた真理ではありますが、そうであれば靴のサイズに人を合わせるようなことは言わず、事業の選択と集中を強めるなり規模を縮小するなりして人に合わせる必要があります。

 

ムーンショットを狙ってはいけない

 人手不足は放置すれば極めて悪循環をもたらします。

 たしかにその解消は難しいものであり、そういった時、人はつい一発逆転の方法を模索してしまいます。

 しかしそれは罠です。苦しい時の起死回生の作戦が成功することは少なく、大抵はより苦境へ陥るばかりとなります。一発逆転の物語が目立つのはただの生存者バイアスに過ぎません。

 ハーバードビジネススクールが述べるように、ムーンショットを狙っていいのはそれ相応の状態の時だけです。

 この記事では、ストレッチ目標を設定すべきは「業績が好調でリソースに余裕のある組織」であり、逆にストレッチ目標を控えるべきは「業績が不振でリソースに余裕のない組織」と述べています。

 しかしながら現実はその逆で、業績が振るわず資金も人手にも余裕がない企業がストレッチ目標へ手を出してしまうことがストレッチ目標が上手くいかない原因だと分析しています。

 これをHBRの記事では率直な表現で「大多数の企業は月を目指すべきではない」と述べています。

 達成できれば大きなインパクトをもたらす前例のない困難な挑戦や計画をムーンショットと呼びますが、そういった飛躍的なチャレンジは飛躍的なチャレンジができるだけの資金と人手が不可欠ということです。

 

 人手不足とはまさにリソースに余裕がない組織そのものであり、起死回生の一発逆転を狙っている場合ではありません。人手不足の時こそ地に足を付けて事業やビジネスを見直し、一歩一歩着実に問題を解決していかなければなりません。

 

結言

 言いたいことは、「人手不足は困るよね」というだけの話です。

 人手が足りないと休めば休んだだけ仕事が増えて、困ります。