「いつまでに必要かを考えて、そこから逆算してスケジュールを立てる必要がある」
的なことはよく言われますが、逆算すべきはリソースだと思っています。
無い袖は振れない
私はことわざの「無い袖は振れぬ」が好きで結構な頻度で使用します。
恐らく袖が嫌いなためです。
袖が無い、なんて素晴らしい言葉でしょう。
まあそれはジョークとして。
私は基本的に現実主義者です。もちろん仕方がない場合は仕方がないと判断しますが、基本的には地に足の着いたポジティブ思考をします。無い袖は振れないのだから諦めようとする現状追認主義でもなく、そのままどうにかしようと楽観で冒進する夢想家でもなく、袖を振りたいならば袖を買ってくるべきだと考えることを好む質です。
そのような現実主義的思考に基づくと、今あるものをどれだけ捏ね繰り回しても今あるものでしかなく、つまるところ何かしらを達成するために試行錯誤すべき対象はスケジュールではなくリソースです。日程でどうこうしようとしても袖は無いままであり、いつまで経ってもどれだけ努力してもどんな工夫をしても袖は振れません。
もっと率直に言えば、スケジュールは自動的です。いつまでに必要かを考えればスケジュール自体はオートメーションに定まります。重要なのはそのスケジュールを達成するために必要なリソースの逆算と分配であり、そこに手を入れなければスケジュールは絵に描いた餅、カレンダーに書いた落書きに過ぎません。
ただスケジュールを引っ張れば達成できるなんてありえないことは本来誰にだって分かっていることです。「来週までに銀河系の外まで飛び出す」としたマイルストーンを設置してスケジュールを描いたとしても、そのために必要となる莫大なリソースが無ければ達成できない無意味なスケジュールと目標であることは火を見るよりも明らかでしょう。それを無視してスケジュールのことばかり述べるのは片手落ちというものです。
結言
リソースに関する権限は担当や下っ端にはありません。リソースの手配は予算や金銭に関する権限を持っている人の責任です。権限と責任は表裏に他なりません。
下からのリソース不足報告に応じて予算を弄ったり既存リソースに応じたスケジュール変更を指示する権限と責任はそれを持っている人の仕事であり、リソースを考慮せずに弥縫策的なスケジュール変更を許容することは仕事をしていないのと同義です。
無理なスケジュールをとにかくやれと言うだけであれば誰にでも言えます。そこら辺を歩いている子どもにだって言えます。そういった口先だけの無意味な行為ではなく仕事として行うためには、下はスケジュールとリソースを適切に分析して報告し、上は下の報告に応じて施策を検討・実施することが必要です。