忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

目に付いたもので記事が書けるか挑戦

 ブログが書けない時にどうすればいいかということについて、昨日の記事でつい書いてしまった一言、

そう、目についたもの全てについて語ればいいんです。」

 自分で言っておいてなんですがそんなことできるのかと思わなくもないので、あえて自らチャレンジしてみます。そう、今回の記事は挑戦的と言えば聞こえのいい、タダの思い付きです。

 私たちが日常的に目にする窓、竪穴式住居の再現など古代の住居を見ると分かるように昔の家には窓がありませんでした。外が暗くなったら作業ができなくなる時代において、昼は外で狩りや採集・農業、夜は家で寝るという生活サイクルでは家が明るい必要が無かったからです。また、あまり気にしたことが無いと思いますが実は窓というのは技術的に難しいものです。なにせ家の壁の目的は外敵の侵入防止と保温、視界の遮断などであり、壁に穴を空けて窓を作るとそれらの目的を達成できなくなってしまうからです。

 初期の窓は蓋付の壁という程度のものでした。障子付きの窓やガラス窓が登場したのは商業や宗教などの登場、つまり店舗や教会など家屋の中での仕事が発展して以降と考えられます。商売や仕事、宗教行事を屋内へ行うために採光が必要になったことが理由です。ゴシック建築における教会の美しいステンドグラスなどはその象徴と言えるでしょう。

 身近なものですが歴史を追うと意外と奥深いもの、それが窓です。

ガラス

 私たちが日常的に目にするガラスの主成分はケイ素、つまり砂です。ケイ素は世界中に分布している物質の一つであり、地表の60%を占めています。そのためケイ素は古代から世界各地での活用が確認されており、紀元前4000年前の古代メソポタミアの遺跡からガラス加工品が見つかっているほどに歴史があります。日本でも古代の遺跡からガラス工房の跡が見つかっています。

 そんなガラスですが、ガラスは固体ではなく液体ではないかという議論が過去にはありました。固体の定義は内部の分子が幾何学的に格子状の結晶構造を持っていることとされていますが、ガラスは結晶構造を持っておらず液体のように内部が不規則に変化しているからです。ガラスは固体の定義から外れています、しかしながら液体とも言い切れない性質を持っており、どちらと表現するのが正しいのか様々な人が長年議論を続けてきました。現在ではガラスは「液体のような固体」「液体と固体の中間」「アモルファス」と呼ばれています。固体と液体のどちらでも無いというのが正解だったのです。

 物質の状態というのはなかなか興味深いものです。古典的には三相(固体・液体・気体)がありますが、現代ではプラズマやコロイド、液晶や超臨界流体など様々な状態が見つかっています。アモルファスもその一種です。

 窓ガラスは室内への採光を容易にしました。ここで課題になるのがどの程度光を集めることができているか、つまり光の量の測定です。長さや重さであれば棒や天秤などを使って何かと比較することで測定できますが、光の量は比較して測定するのがとても難しいのです。光の量のように純粋な物理量では無い量のことを心理物理量と呼びます。

 光に関連する単位にはカンデラ、ルーメン、ルクス、フォト、スチルブ、ランバートなど様々なものがあります。日常で目にするのは蛍光灯等でよく用いられているルーメンやルクスくらいでしょうか。

 国際単位系としてはカンデラ(光度)が基本単位として扱われています。光度は大雑把に言えば光の強さのことです。カンデラの定義を見てみましょう。

カンデラ (cd) は光度の単位であり、その大きさは、単位 lm·W−1 (cd·sr·W−1 または cd·sr·kg−1·m−2·s3 に等しい) による表現で、周波数 540×1012 Hz の単色光の発光効率の数値を 683 と定めることによって設定される。ここで、キログラムとメートルと秒は h と c と ΔνCs を用いて定義されたものである。

 厳密さを求めているのは分かりますが、もはや呪文です。なぜ540テラヘルツなのかとか発光効率が683なのはどうしてかとかは、説明が長く、面倒臭く、難しくなるので止めましょう。

 光度は元々"標準蝋燭”という基準のロウソク1本分の明るさを1キャンドル(燭)として決めていました。しかしキャンドルは定義が曖昧で地域差などがあったために、もっと厳密なカンデラという新しい単位が定義されました。ただし今まで使っていた単位のキャンドルから使い勝手が変わらないよう、1キャンドル=1.0067カンデラとほぼ同じ値になるようにカンデラは定義されました。そのため1カンデラ≒1キャンドル=ロウソク1本の明るさ、と覚えやすくなっています。

 ちなみにロウソクの英語キャンドルと単位のカンデラはどちらもラテン語のcandela(獣脂蝋燭)が語源です。ついでに照明器具のカンテラも同じ語源です。

結論

 まあ、書けないことはない・・・ないのですが、思ったよりも辛かったです。ほとんど雑学披露になってしまいました。ふと目に付いた「窓」だけでは文章量が少なかったため、最終的には専門の理系分野に話を寄せる卑怯な技まで使っています。その上でこの惨憺たる有様です。

 もっとこう情緒的な文章を書きたかったんです、書きたかったんですけど、窓君との思い出話とか無いですし・・・もうちょっと書きやすそうなものが目に付けば良かったものを。

 書けるとは言ったけど面白い記事になるとは言っていない、ということでご勘弁を。いや、でも頑張った方だとは思うんですよ・・・?