忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

だらだら仕事してみたい~技術屋の愚痴

 私は技術屋ですが、ブログでは日常的な仕事の話はしていません。業務上の秘密を隠すのが面倒ですしそもそも何が秘密に該当するか判断するのが手間ですので、だったらまあ何も語らないほうが早いよねという考えです。実に普通で当たり前ですね。

 とはいえたまにはふざけた感じで日常を愚痴ってみるとしましょう。ヘビィな愚痴は良くないので、笑い話程度の愚痴で。つまりはいつもの不真面目記事です。

よくある質問事例(営業編)

【質問】顧客からの質問なんですけど、定常流における圧縮性流体の実在気体が単位時間に輸送できるエネルギー量は温度によって異なるのはなぜ?

【回答】温度によって気体の圧力、密度、エンタルピーが変わるためです。

【質問】なぜ温度によって気体の密度が変わるの?

【回答】ファンデルワールスの状態方程式を見ても分かるのですが、気体の密度は分子間力によるものでありクーロンの法則と同じように距離の逆二乗となるためです。

【質問】それを噛み砕いて文系にも分かるように説明して。

【回答】うぇ、え、えー、えーと、温度ってつまり分子の動きですよね?分子がすっごい動いてるのが温度が高いということでー。それで、すっごい動いてるということはあっちこっちに分子が動いちゃうということだから、あんまり集まらないでスカスカになっちゃうわけですよー、だから密度が下がるんですよー。

【質問】分子って何?そもそも密度って?

【回答】えー・・・

 よく「文系でも分かるように説明して」って言われるのですが、学校の理科教育を覚えているかどうかで結構話のレベルが変わるんです。義務教育を最低ラインとさせてくださいお願いします。分子って何?って聞かれると困るんです。私は学校の先生じゃないんですよ。教えますけど、ますけどね!

設計が本業ではありますが・・・

 私のお仕事は製品の技術的な部分を担当することです。設計は当然として、生産上での問題があればそれにも対応しますし、顧客での取り扱いや技術的課題にも対応します。工業製品において技術的なところが関わらない問題というのはそうそう無いので、大体何かあれば誰かしらが私のところに持ってきます。つまり何でも屋です。下手をすれば一日の半分以上は誰かに何かを教えています。あれ、やっぱり先生っぽい・・・

 何でも屋だから何でも対応しますし説明するのですが、個人的に一番精神へダメージを受けるのが上述したような「噛み砕いて説明して」「文系でも分かるように説明して」という言葉です。それはとても難しいのです。専門家がなぜ専門用語を使うかというと、専門用語でなければ伝わらないからなのです。カッコつけやマウントとかではなく、必要だから使うのです。

 いや、まあ、専門外の意思決定者や出資者にも理解できるよう噛み砕いて説明する技術は社会人の必須スキルではあるんですけどね・・・しんどいわけです。噛み砕き過ぎて「馬鹿にしてんのか!?」ってなるのも面倒ですし。

 「ここはこの数値を乗算するんです、あ、かけ算分かります?」「馬鹿にしてんのか!」ええ、さすがに私が悪かったです。

暇って何?

 何でも屋なので勤務時間中に暇なんてありません。掛かってきた電話に応対している間にメールは次々とストックされていき、後ろでは新たに発生した問題を抱えた関係者が電話が終わり次第私を捕まえようとスタンバっています。席に帰ってくれ。

 だらだら仕事して残業で稼ぐとか、残業時間から本気出す、みたいな話がありますが、正直羨ましいです、やってみたいしやりたいです。窓際に座ってコーヒーを飲みながら新聞を読むような立場になりたいものです。上司に相談したこともありますが、「ほざくな、50年早い」と言われました。定年しちまうよ!

 毎日飛び込み業務ばかりでてんやわんやのお祭り騒ぎであり、もうお昼にはくたくたです。午後は気合で乗り切り、人が帰った残業時間にようやく設計へ手が出せるような日々。せめて休憩時間くらいは取りたいなー。

 考えてみると仕事中に話しかけられる時は9割くらいの頻度で「教えてー」「ヤダ」「これこれの件なんだけど」「ヤダって言ってるじゃん」という会話をしています。マンネリ気味です。

余談

 休日出勤中にかかってきた電話を今でもよく覚えています。

「おたくの製品じゃなくて他社のなんだけど壊れちゃってさー、なんで壊れたと思う?」

「は?え?弊社の製品じゃないんですか?」

「うん、なんか動かなくなっちゃってさー」

「なんでと言われましても・・・これこれこのような壊れるパターンがあると考えられますが、弊社の製品に置き換えていただければ壊れることはありませんのでぜひとも弊社の製品をご購入ください」

 答えが合っていたのか、なぜ私は唐突に営業をしたのか、なぜあの人は買ったメーカーに電話しなかったのか、なぜ顧客窓口ではなく工場に電話してきたのか、どこで電話番号を入手したのか、今でも全ての意味が分かりません。なんだったんだろう・・・休日出勤という現実に耐えかねて見た悪夢?