忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

マイペースで働くにしてもバリバリ働くにしても、それを決めるのは自分自身である

 仕事のやり方、その方向性には大きく分けて2種類あります。

 一つは自分のペースで働くこと。仕事を生きる糧を得る手段として定義し、周囲に流されず自分の時間を大切に働く方向性。

 一つはバリバリ働くこと。仕事を自己実現の場として定義し、自らの出来る限りを注ぎ込む方向性。

 それぞれの方向性はベクトルが真逆のものであり相容れないものです。そしてそもそも相容れる必要すらありません。仕事において重要なのはアウトプットであり、それぞれの仕事を阻害しないレベルのアウトプットを出力できているのであれば気持ちはなんだって構わないでしょう。

 むしろ考え方のベクトルが真逆ということは下手に組み合わせたら全体が小さくなってしまいます。無理に組み合わせずそれぞれの強みを生かすほうが良いです。ああすべきだこうすべきだと押し付け合うべきではありません。

 

方向性は自らで定める

 さて、仕事のやり方はどちらの方向性であっても良いのですが、忘れてはいけないこととして、方向性は自らで定める必要があるということです。親鳥の帰りを待つ雛鳥のように口を開けて待っていても誰かが与えてくれるものではありません。マイペースに働くにせよバリバリ働くにせよ、その意思を自らで示し、その結果を自らの責任として受け止め、自らの足でその道を行く必要があります。

 

 私は人から見たらバリバリ働いているタイプですが、自分の中では圧倒的マイペースに仕事をしていると考えています。先日もトラブル発生時に計算で用いたポアソン分布について社内での教育資料が不足していると感じ、ポアソン分布の概念に関する資料と簡単なExcelを作成して若手に回覧していました。読んで勉強しろということではなく、必要になったらこういう資料があることを覚えておいてね、というスタンスです。

 その手の資料を作って若手に教育するほど仕事熱心だと思われがちなのですが、正直なところ趣味で遊びだと思ってやっています。こういう資料があったほうがバリバリタイプの糧になるし、マイペースタイプも仕事が楽に早く終わるようになるし、自分の記憶定着にもなるし、三方良しやんか、という程度の適当な気分です。

 そのような資料を読んだ若手との話を紹介します。あまりそのまま載せるのもなんですので、複数人に話したことを要約してまとめた感じにします。まあ話している内容は例年だいたい同じです。

 

「僕はこういう高度な数学や物理を日々の仕事であまり扱っていません。上司や先輩からもそういった高度なことを任されたことがありません。こういった高度なことを出来るようになったほうがいいのでしょうか?」

「別に高度ではないけどな。まあそれは置いておいて、今年度から先輩の下から離れて独り立ちしたことだしちょうどいい機会だから説明しておこうか。まず上司や先輩の下について仕事をしている時は、与えられた仕事をしていればいいからそういった判断をする必要は無いし、まあ若手に高度なことはまだ任せないからあまり扱っていないのもそんなもんさ」

「独り立ちをするということは、もう誰も与えてくれなくなるということなんだ。仕事もそうだしやり方もそうだ。手取り足取り何をすればいいかを与えてくれなくなる。それを自分の責任で自分で決める裁量を与えられたとポジティブに思ってもいいし、もう誰も面倒を見てくれないとネガティブに思ってもいい。ただ、いよいよ学校のようにやるべきことを与えられる立場からは卒業するということだ」

「君が自分で判断し、自分のやりたいようにやる必要がある。僕が作っている資料やデータだって別に誰かに頼まれたものじゃない、自分で作りたいから作ったものだ。これを読むも自由、読まないも君の自由だ。それが独り立ちというもんだ」

「君が将来出世をしたり誰かに技術屋としてリスペクトされたいのであればバリバリ働いて高度な技術を身に着けるべきだ。その代わり君の可処分時間は削り取られることになる。残業だって止むを得ないだろう」

「君が自分のプライベートな時間を大切にしたいのであれば別に高度な技術を身に着ける必要はない。うちの会社は緩いから適当に仕事をしていたってクビにはならないし、ちゃんと給料はもらえる。その代わり同僚よりも多くの権限や昇給を得ることはない」

「どっちの道を選んでもいい、それは決して人に強制されるものじゃない。いっそ第三の道を選んだって構わないと思うよ。社内だから大きな声では言えないけど、例えば環境を合わせるために転職とかね。でも、どの道を選ぶかは君が決めなければいけない。それは誰も与えてくれないんだ。自分でやりたいことは自分で決めるべきだし、誰かに任せることじゃない。そして決めたことによって生じる結果を自分の責任として受け止める必要がある。独り立ちっていうのはそういうことだよ」

 

 

余談

 学生気分が抜けてくる辺りの年頃の若手が話していて一番面白いですね。この子は将来どうなるのかという夢があって。うーん、私もおっさんになったものです。とても説教くさい。