忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

仕事で独創性を発揮するには選択と集中が不可欠

 多くの人は他者と異なる独自性・独創性・オンリーワンなオリジナリティを発揮することを望むものです。自らが発揮したソレはまさしく個人に付属する唯一性を持った価値として存在するものであり、それを追い求めることは決して悪いことではありません。むしろ独創性を積極的に求めることは前向きで発展的であり、良いことでしょう。

 ただ、仕事に関してはいつでもどこでも何にでもオリジナルである必要は無いと、そう考えています。

 

仕事の基本はパクること

 はっきり言ってしまえば仕事の基本はパクることです。

 これは人の独創を盗んで自分のものにしろという意味では決してありません。むしろそれは絶対にすべきでない戒めるべきことです。

 パクるとはそうではなく、前任者や先達の成し遂げてきた成果に乗っかって新たに積み上げることを意味します。

 

 個人が発想して為し得ることには限度があります。個人でバベルの塔を積もうとしたってそんなことは無理であり、まっ平らな平地に一から積んでいては過去に膨大な先人が積み上げてきた塔の土台にすら届きません。

 それよりは先達の積みあげてきたものに敬意を払い、巨人の肩の上に乗せてもらい、その塔の上に自分の独創を重ねる、若者にはそのような仕事の仕方をしてもらいたいです。

 仕事とは否応なしに成果を基準として評価されるものであり、つまりは積んだ量ではなく届いた高さによって評価されます。そのため、先達の積み重ねてきた塔に昇ってその上に積み重ねるほうが一から積み重ねることよりも評価されるということを肝に銘じておく必要があります。

 

 つまりは学問と同様です。過去の学者が研究してきた研究成果を基に、先達の知恵を学び、先達の模倣をし、そしてその先達の先に一歩進んで初めて学問的価値が産まれます。仕事も同じということです。

 その一歩、新たに自らが積み重ねるものには独創性が必要ですが、逆に言えばそこまで進んでいくのに独創性は不可欠というわけではなく、むしろ多少愚直であっても先達の知恵をまっすぐに吸収することこそが求められます。

 

独創性が求められる部分を見極めること

 確かに独創性を発揮することは評価の対象です。一山いくらの面白みも何もない仕事をする人よりも光輝を放つ独自性に優れた仕事をする人のほうが評価を得られることでしょう。

 ただ仕事の評価軸には複数あるということも知っておかなければなりません。

 新人が成長するためには、独自性よりも早さが求められるタスクがあり、独創性よりも期限が優先される業務があり、オリジナリティよりも単純な明朗さが必要な仕事がある、ということを理解することが一歩です。

 もちろん独創性を発揮しなくていいというわけではないのですが、それが今か、この仕事のこのアウトプットで発揮すべきものか、ということはしっかりと見極めなければなりません。

 新しい業務の立ち上げや新規企画、改善の提案であれば存分に独創性を発揮してください。そのような仕事では独創性こそが最たる評価軸です。

 しかしルーチンワークや単純作業では独創性は重視されるものではなく、それよりは早さや正確さが評価対象です。そのような場合は独創性の発揮は控えたほうが良いでしょう。

 

 つまるところ独創性というのは個々人が持つ限られたリソースであり、それを発揮するには「選択と集中」が不可欠であるという、難しくも面白くもない話です。

 

結言

 出張報告書や打合せ議事録、テストレポートにオリジナリティは無くていいんだ。読みやすくて、伝わりやすくて、理解しやすいほうが大事なんだ。いいね?

 一から書類を作らなくてもいいんだ。先輩方の書式をコピペして、同じような構成で、変わらない文体で書いてくれればそれで充分なんだ。いいね?

 若者の独創性にはとても期待していて、ベテランにはない素晴らしい視点を提供してくれると信じている。でも、それを発揮すべき時と場合は上手く見極めて欲しい。ただ、それだけなんだ。