今年もフリーダム・ハウスによる『Freedom in the World』が更新されましたので、その内訳を見ていきます。
スコアの発表自体は3月中旬に行われましたが、日本のスコア詳細が公表されたのは5月下旬です。今回もそのスコア詳細について見ていきましょう。
(2021年版の解説)
(2022年版の解説)
Freedom in the Wolrdは自由と民主主義を監視するために設立された国際NGO団体フリーダム・ハウスが毎年公表しているレポート及びランキングです。
1948年に国連総会で採択された世界人権宣言を元に、各国・地域の政治的権利(Political Rights)及び市民の自由(Civil Liberties)を点数で表しています。
採点は25項目4点満点、合計スコアは100点です。
但し自国民の虐殺など極めて深刻な人権侵害が発生している国家・地域では別途減点されることがあります。
スコアと順位
Freedom in the Wolrd2023におけるランキング上位は以下の国家・地域です。
平均スコアは55.5点、中央値は60点、標準偏差は31.4点でした。
日本のスコアは96/100点、順位は11/210位です。
日本は2022年の発表と変わらず同スコア・同順位であり、世界的に見ても高水準の自由を維持していると言えます。政治的権利が40点満点、市民の自由が60点中56点で、4点減点されていることも昨年と同様です。
日本の自由は高く評価されているものの、この減点されたポイントが日本の課題と言えるでしょう。以下で何を持って4点減点したかの内訳を見ていきます。
日本の課題
無料で独立したメディアはあるか?
この項目では1点減点されています。次の点が減点理由です。
- 2014年に施行された特定秘密保護法へのジャーナリストの批判
- 放送法第4条の存在(公平の判断基準が政府にあることの問題)
- 記者クラブ制度による情報の制限
昨年から特に追加や変更はなく、従来通りの理由により減点されています。
法律、政策、慣行は、人口のさまざまな層の平等な扱いを保証しているか?
この項目では1点減点されています。次の点が減点理由です。
- 部落差別への罰則規定がない
- 日本政府のアイヌへの謝罪がない
- 在日外国人へのヘイトスピーチの罰則規定がない
- 性的指向や性自認に基づく差別を禁止する国内法がない
- 亡命・難民の認定が厳しい
昨年から特に追加や変更はありませんが、昨年は入管によるスリランカ女性への虐待が記述されていたのに対して、今年はウクライナ人を避難者として受け入れたことが記述されています。
個人は、結婚相手の選択や家族の人数、家庭内暴力からの保護、外見のコントロールなどの個人的な社会的自由を享受しているか?
この項目では1点減点されています。次の点が減点理由です。
- 夫婦における姓の共有の義務
- 同性婚を法的に認めていない
- 家庭内暴力の暗数
昨年から特に追加や変更はありません。
個人は機会の平等と経済的搾取からの自由を享受できているか?
この項目では1点減点されています。次の点が減点理由です。
- 長時間労働の問題
- 派遣社員・契約社員の待遇
- 外国人技能実習生制度の問題
- 商業的な性的搾取の存在
昨年からの追加として、今年は外国人技能実習生制度の問題が記述されました。
結言
記述内容の差異は若干あるものの、大筋としては例年と同じ課題が指摘されており、例年通りであるためスコアも変動は無しです。
上述の課題の多くは国内でも議論されている内容です。日本のスコアと順位は決して悪くはありませんが、それは現在ある問題を解決しなくてもいい理由にはなりませんので、今後も議論と改善が進んでいくことを期待します。