忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

猫の手はいらないが、人は雇うべき

 

 第一四半期が終わったので進捗状況をまとめているのですが、他のメンバーの年度行動テーマ数が1~10個であるのに対して私は20個以上あるので、ちょっと笑えます。

 これだけ忙しくしてても結構進んでないなぁ・・・困った困った。

 このアンバランスさは関係者が悪いというわけではなく、うちの部署は色々とごちゃ混ぜの部署で、私は企画関連をメインとしていますが人によっては国際関連やマーケティング関連など別々のことをやっているのが理由です。他の人は私のフォローをできませんし、私も他の人の仕事を肩代わりすることはできません。必然、仕事それ自体の多寡が直接担当者の仕事量に影響します。他課の同じ企画担当はやはり同じくらいの数のテーマを抱えています。

 事業所に居た頃は設計部隊でまとまっていたためなんだかんだ仕事のやり取りに融通が利いたのですが、今はそうではないので大変だと思います。

 

 バランス的にあと1人2人は担当が欲しいところです。

 

猫の手はいらない

 「人手不足」には人それぞれ様々な見解があるかと思いますが、今の私の現状は具体的に言えば「人材不足」です。単純作業をする部署ではないため、人手ではなく人材を必要としています。うちの部署は新卒を入れませんが、それは必要なスキルや経験を持った人材が必要なためであり、新入社員や中途社員を投入しても役に立ちません。

 贅沢を言っているわけではなく、これは必須要件です。

 例えば企画職であれば、顧客ニーズや市場・競合の動向を全て把握して理解するだけの市場調査・分析力、シーズを知りニーズに合った商品コンセプトと付加価値を発案するための企画力や発想力、それを実現するために社内外の関係各所へプレゼンをして連携するだけの政治力やコミュニケーション能力、スケジュールを設計し進捗を管理しリスクへ対応するだけの調整力、売上予測やコスト計算といった数字への理解力などなどが必要であり、無数にある自社のシーズやキーマンの把握などをするだけで少なくとも10年程度は働いた経験が無いと話になりません。

 私自身、比較的幅広く設計を担当してきた実績から今の部署に居ますが、それでも把握しているのは10%程度です。残りはこちらへ来てから学んでいるものの未だ30%も届いていないでしょう。0%から10%には10年以上掛かっていますので、この仕事を肩代わりできる人は限られますし、新人に任せることはできません。

 嫌味な言い回しとなってしまいますが、猫の手はいらないのです。

 

結言

 じゃあどうすればいいんだとなれば、結局は組織の代謝を上げる他ないのでしょう。連綿と新人を雇い、社員を教育し、成長に合わせて適宜再配置していく以外に道はありません。仕事には経験的知見が必要なものと技能的知見が必要なものがあり、後者は中途採用なりで賄えますが、前者は内部で育て上げる必要があります。

 昨今は労働力の流動性が高まって「どこでも通用するスキル」としてのポータブルスキルが持て囃されていますが、どこでも通用するスキルをかき集めたとしても生み出せる付加価値はどこでも作れる価値だけであり、そのレースで勝つのは人材をかき集められる大資本のみです。そうではないオンリーワンの付加価値を産み出して競争で勝つためには経験的知見が不可欠であり、そのためには採用と育成の循環が重要でしょう。

 猫の手はいらないですが、子猫を雇ってきて独自性のある一人前へと育てる仕組みはむしろ今の時代にこそ必要です。

 

 

余談

 もっと困ったことに、上司たちの方が仕事を抱えているので寄り掛かることもできないのが困ったところです。

 先日も、「忙しいか?大丈夫か?無理すんな?」と部下に言うタイプの人が、「忙しいか?俺のほうが忙しいぞ」と珍しくバグっていたので。笑っちゃうくらい本当に忙しいのを知っているので、苦笑いです。