忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

隣席の同僚が毎月海外に出張している程度にグローバルな部署

 

 もちろん商社ほどではないにせよ。

 

歴史と経緯

 弊社にはかつて国際部と呼ばれる部署が存在していた。

 いつから存在していたかは寡聞にして存じ上げないが、恐らく西暦2000年頃、製造業グローバル化の波に巻き込まれて遠く海の向こうへ商売を広げた際に設立したのであろう。

 当時は海外での商売に関するノウハウがまったく無かったことから国内のグローバル適性が高い人材をかき集めて作られたその部署は、海外関係の案件があればありとあらゆる全てが持ち込まれる何でも屋としての機能を期待されていた。営業・物流・生産・購買・財務、その他ありとあらゆる企業活動を理解して海外拠点のフォローをできる優れた人材が必要とされた。

 さらに言えば、単純に人口の違いから海外の案件は規模が大きくなる。そうであればデカい仕事はできる奴に任せたいと上層部が考えるのは自然な心理だろう。

 必然として、そこへ所属する人は社内でも優秀と評価される人ばかりとなった。

 

 それからしばらくの時が経った。

 海外の拠点はある程度安定して自立できるようになり、国内の拠点も海外とのやり取りに慣れてきてダイレクトなコミュニケーションを徐々に取れるようになってきたことから、国際部はその目的を果たしたと判断されて解体となった。そこに所属していた人々は皆新たなポジションへと散開して各所で活躍している。

 

 という名目だが、実は大きな嘘がある。

 第一に、海外拠点はそこまでまだ自立していない。海外進出初期の拠点はさすがに独立しているが、まだ日の浅い拠点は成長途上であり本国からの支えが必要だ。当たり前の話だが様々な地域や国に商売の手を伸ばし続ける限り未成長の海外拠点は生まれ続けるわけで、全てが完全に自立する日とは世界中に手を伸ばし切ってからとなる。それを達成している巨大企業など現実にはほぼ無い。

 第二に、国内拠点は言うほど海外とのやり取りに慣れていない。今まで何十年も日本語でしか生きてこなかったオジサン達が急に適応できるわけがないのは当たり前だ。実際に実務をこなしてきたのは極めて一部の人材だけであり、その人材に海外関連の業務を全て押し付けて著しい負担を強いていただけである。

 よって未だ国際部的な業務、国内と国外を繋ぎ、協業し、調整する鎹のような部署が現実には求められる。どこかの誰かがそれをやらなければならない。

 

 まあ、つまり、うちの部署なんですよね、はい。

 

困っちゃうほどグローバル

 一応名目上は商品企画です、はい。

 時に営業データを分析し、時に各所へ直接足を運んで市場情報を収集した上で、自社内の技術力も把握してニーズとシーズに基づいた新製品の企画を立てる、それが商品企画の仕事です。

 ただ、弊社は古き昭和のかほりを残す伝統的な企業でございますので、ちょっと中央集権的と言いますか、何故か海外拠点に企画部門を置かず日本の本社だけでやろうとするちょっとレトロな発想を持っておりまして、各国のローカル市場に合わせた商品の企画も日本でやっている以上、自然とグローバル的な視点や知見を持った人材がそこには配属されるようになります。

 よって、とてもグローバルな部署です。

 あと、もの凄くグローバルな部署です。やっぱり会社は私のことを誤解しているようです。だから私はグローバルな人材じゃないと言っておろうに!

 

 「国際部を解体したものの、国際部的な仕事は誰かがやらなければならない。それであればグローバルな視点を持った人材が多い部署にやらせるのが妥当だろう」といった理屈に基づき、商品企画と銘打たれた部署に何故か国際的な業務が流れ込んでくる状況と相成りました。

 下手をすればよほど国内よりも海外関連の仕事をしてますからね。メールの言語比率もそろそろ日本語が5割を切りそうです。日によっては本業の企画業務が片手間ですらあります。

 朝から一人で外国の人を駅まで迎えに行きタクシーに乗せて工場に行って製品プレゼンや工場見学のフォローをして昼飯食って製品プレゼンや工場見学のフォローをしてタクシーに乗せて飲食店に連れて行って夕食会をして電車に乗せてホテルまで帰らせて、それで月曜日はおしまいです。

 

 ・・・これは企画部の仕事ではないな。

 では誰の仕事かと言われれば困るのですが。

 

 このような雑務が生まれるのは、まあそういうことです。

 

結言

 今の職場は、凄く大雑把に分類をすると営業系と技術系と国際系を社内からかき集めてドッキングした部署で、商品企画をする上でそれぞれの専門性を生かすことを期待されつつもそれだけでなく何でも屋として「全部できるようになる」ことが求められる次第です。それもグローバルな規模で。

 特に技術系は何故かお利口さん扱いを受けるため、全部やることが求められます。要求が高いです。しかも「マニュアルが無い手探りな仕事をこなせる人材を集めた部署」であった国際部の頃の名残りか、教育システムが無いどころか業務マニュアルの1つすら無いのは困ったものです。

 

 そんなわけで初日からあれやこれやと任されてきていますが、幸い元設計屋としては正解の無い手探りの仕事には慣れているためなんとか適応できています。

 さらに言えば事業所に居た頃も海外関連の仕事は大体押し付けられ・・・任されていたので、実のところそこまで大きな変化は感じていません。まあそんなポジションだったからこそ今の部署へ異動することになったのかもしれませんが。

 

 今月も海外出張が急遽決まりました、まあグローバルです、はい。

 そんなにグローバルな人間では無かったはずなのに、人生とは分からないものです。