忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

有象無象


毎日の通勤ラッシュ、満員電車に乗るのは大変ですよね。

押し合いへし合いにらみ合い。誰かの肘が腹を突き、誰かのカバンが足を打つ。強制参加のおしくらまんじゅう。

でも、象がいれば!

象の背中は広々快適、クッション付きの専用スペース。圧し潰し合いから抜け出せます。

電車を降りても象任せ。押しボタン式の信号だって鼻で押してくれるから、通勤時間がちょっと短く!

 

恋人に振られて落ち込む夜もありますよね。

スマホの画面を見つめても、いつまで経っても既読にならず、心はぽっかり空いたまま。冷たい夜に冷え込むばかり。

でも、象がいれば!

鼻でスマートに花束を差し出し、アイスと毛布もセットで参上。

そして鼻から奏でる失恋ソング。

象はいつでも優しく寄り添ってくれるんです。

 

雨の日に傘を忘れてしまうこともありますよね。

駅からの道のりがやたら遠く感じて、服も靴もあっという間に濡れ鼠。

でも、象がいれば!

巨大な蓮の葉を鼻で掲げて、優雅に雨を防いでくれる。通行人だって集まって、象の下は即席の雨宿りカフェに!

皆のハッピーは象が運んできてくれます。

 

荷物が多すぎて手が足りない日もありますよね。

買い物袋はちぎれそうで、階段なんてとてもとても。

でも、象がいれば!

鼻で軽々袋を持ち上げ、背中にだって乗せてくれる。しかも買い物リストを覚えてる!

象は素敵な買い物の達人、エコバッグだって持ってます。

 

引っ越しのとき、重い家具を運ぶのは本当に大変ですよね。

階段をえっちらおっちら何往復。腕も腰も悲鳴を上げる。

でも、象がいれば!

鼻でソファを軽々持ち上げ、ベッドもスイッと運びます。鼻を伸ばせば二階だって関係ない。

部屋は広々、象のため! 

 

そう、象がいれば、世界はちょっとだけ素敵になる。

象はでっかくて、優しくて、愉快で、頼りになる。

でも、象がいない人だってちゃんと生きている。

象がいない日常にも、笑いはあるし、涙もあるし、工夫だってある。

世の中には、象がいる人もいれば、いない人もいる。

有象無象。

象がいる人も、象がいない人も、みんなひっくるめてこの世界。

だから今日も、象がいてもいなくても、なんとかなる。

たぶん、きっと、なんとかなる。