忘れん坊の外部記憶域

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体系的に学ぶか、つまみ食い的に学ぶか:Minecraftをやりながら考えていること

 

 メカトロ系の学部を出た技術者の私としては後者を好むのですが、中途半端になりがちなことが悩みどころです。

 とはいえ、つまみ食い的な学習にも利点があると思っていますので、今回は完全に独り言的な見解をつらつらと述べていきます。

 

レッドストーン回路

 世界で最も売れたゲームであるMinecraftにはレッドストーン回路と呼ばれる要素があります。

 レッドストーン回路とは簡単に言えばデジタル回路的なもので、関連アイテムを使ってゲーム内で「動くカラクリ」を作る仕組みです。自動で開くドア、アイテムを無限に生成する装置、倉庫の仕分けを勝手にやってくれる機構など、ゲーム内のアイテムを上手く組み合わせることで様々なカラクリを作ることができます。

 伊達に「教育版マインクラフト」が存在するわけではなく、プログラミング的思考の基礎や電気工学の概念的な部分を学ぶにはうってつけのゲームでしょう。Youtubeでも見ればありとあらゆる自動装置の作り方動画が溢れていますので、プレイヤーはそれらを模倣して原理や概念を学ぶことができます。

もちろん電磁気学や電力工学といった"現実の物理的な電気工学"が学べるわけではないので、過信は禁物ですが。

 

学びの順番

 レッドストーン回路に限らず学校の勉強もそうなのですが、このような学習における学ぶ順番は、大きく2つに分けることができると思います。

 一つは体系立てた学習

 レッドストーンの基礎や挙動、AND/OR/NOT/NAND/NOR/クロック回路/フリップフロップなどの論理回路の理解、信号の遅延/減衰/同期ズレなどの概念理解と制御、それらを用いた実際の装置作成など、順序立てて必要な知見を学んでいく方法です。Youtubeやブログなどで「レッドストーン講座」みたいなものから学んでいく人はこちらに該当します。

 もう一つはつまみ食い的な学習

 先にレッドストーン回路で実現したい装置や目的を考えて、それに合った方法を探したり必要な概念や論理回路をピックアップして学んでいく方法です。Youtubeで「3x3自動ドアの作り方」みたいな動画を検索して学ぶ人はこちらに該当します。

 

つまみ食い学習の擁護

 基本的に、物事は体系立てて学ぶことが理想的です。

 それは当然で、積み上げる高さは土台の大きさと堅牢さに依存する以上、知識はちゃんと下から積んでいくほうが良いに決まっています。つまみ食いでは取っ散らかった知識しか学べませんし、基礎が抜けていれば正しく理解することもできません。動画を見て真似をすれば「ここにこのブロックをこう置けばこう動きます」はできるでしょうが、それは真に理解したと言える状態ではないでしょう。

 

 ただ、個人的にはつまみ食い的な学習も捨てがたいと思っています。

 これは論理的と言うよりは心理的な話として、体系的な学習は面白くないためです。

 学校の勉強などはまさにそれで、「なぜ微分積分や化学反応を学ぶのか、これが何に使えるのか」「この公式や数式は何に使えるのか」を意識させず、とにかく基礎的な処理を詰め込もうとすればモチベーションを維持できない学生が必ず出ます。動機付けが上手くいかなかった学生は積み上げに意味を見出せず、どれだけ地力があっても学習から離脱しかねません。

 その点、つまみ食い的な学習は事前に目的意識がありモチベーションが高い状態を保ちやすいため、学習の継続性の面で効果的です。

 

 つまみ食い的な学習では知識の歯抜けが課題となりますが、それも案外なんとかなるのではないかと思います。

 これは簡単な話で、後から体系立てればいいだけです。

 カーネギーメロン大学の行動経済学者ジョージ・ローウェンスタイン教授によれば、人の好奇心や情報の探求心が生まれるには「情報ギャップ・情報の空白」を感じることが不可欠と言われています。

 つまり、初めに探求する心があってそこから情報を集めるのではなく、情報が欠けているという認知があって初めてその隙間を埋めたいという拡散的好奇心が沸き起こります。

 その点からすれば、つまみ食い的な学習による知識の歯抜けは拡散的好奇心を育むのに最適な方法ですらあるでしょう。断片的に学んだ知識が徐々に結合していくのは好奇心が刺激されるたいへん面白い知的遊戯です。

 

 さらに言えば、近年の学習アプローチにはジャストインタイム学習というものすらあります。学習者が必要とするまさにその時に、必要な方法で、ニーズに関連したトレーニングをすぐに利用できるようにすることを促進する手法であり、事前に計画された教育・研修と比べればつまみ食い的な学習の構図に他なりませんが、一定の成果を出しているとされています。

 

結言

 ちなみに、私が大学の頃にやっていたメカトロニクスは完全に後者、つまみ食い的な学問です。

 機械工学、電気工学、電子工学、制御工学、材料力学、情報工学などの知識や技術を融合、と言えば聞こえはいいですが、実際は実現したいメカに必要な知識をつまみ食いして組み合わせる学問であり、それぞれの分野の専門家には当然及びません。

 サイエンスやリサーチというよりはエンジニアリングに寄った分野です。それが面白いと思う「つまみ食い的な学習を好む層」にはおススメだったりします。

 

 そもそも、どちらかを選ばなければならないと思うほうが変な話です。

 体系的な学習も、つまみ食い的な学習も、どちらもメリットデメリットがあるのですから、どちらもやって補完し合えばいいだけです。片方しか選んではいけないなんて決まりはありませんし、もっと合理的かつ効率的な学習をこそ尊ぶべきでしょう。

 

 

余談

 現実には、後から体系立てる必要があることを理解するメタ認知能力も必要なのが、つまみ食い的な学習の難しいところではありますが。

 体系立てる努力を支払わないと、理解が浅く継続性も無い、ただの雑学で終わってしまいます。