先日、衆議院選挙が終わりました。
選挙について特に細かい分析を語るつもりはありませんが、久しぶりの大きな政変だったと言えます。今回の選挙は日本の政治史でも一つの大きな転換点であり、様々な人に思うところがあるでしょう。
さて、恐らく私の観測範囲が狭いだけだとは思うのですが、少し個人的に気になっていた争点が今回の選挙ではあまり語られていなかったように思います。
それは外交です。
言葉にすれば「2024年は選挙イヤーであり世界情勢が動く年だが、そのような状況で誰を日本の舵取り役に任命するか」であり、もっと率直に言えば「アメリカでトランプが大統領になる可能性があるが、日本としては誰を選べば彼と対等にやり取りできるか」が今回の選挙では重要だと思っていましたが、私の観測範囲ではあまり話題になっていなかったように感じます。
善し悪しの話ではないものの、少し残念です。
内向きの視点への拘泥
私は国家の役割を『国民の生命、財産を守ること』だと考えており、そのために『経済』と『外交』こそが政治の焦点だと思っています。
経済が正常でなければ命も財産もどうにもなりませんので、経済は最優先です。
また諸外国との関係性を適切に構築できなければ戦争を筆頭に生命・財産の危険を招きかねないため、安全保障も含めた外交はとても重要となります。
それ以外の争点が無意味とはもちろん言いませんが、経済と外交は土台でありそこがふらつくようでは他の全てが崩れ去りかねない以上、優先度としてはまずとにかく経済と外交です。それ以外の争点に基づく選定は経済政策と外交政策の土台がしっかりしていることを前提とする必要があると思っています。
この二つを重視するためには内側だけでなく外側を認識している必要があります。国家で言えば『自国』と『他国』です。
なにせ経済も外交も単独では意味を持たず有機的に外側と繋がって連動して動くものであり、自国だけで思い通りにできるものではない以上、自国だけでなく他国のことを思考の変数に組み込むことはむしろ当然ですらあります。
世界とは様々なプレイヤーがそれぞれの思惑で動いている盤の上であり、世界は我々だけが動かしているわけではないからです。
これは将棋のようなボードゲームで自分がやりたい戦術だけを追い求めていれば勝てるか、そういった話です。当然ながらそれでは常勝は叶いません。自身の意図通りに進めたいのであれば自分の内側で構築した戦略だけでなく相手の意図や戦略までも理解して対処する必要があります。
何事においても同様に、「我々」を対象とした内側の論理だけで動こうとしてもそれが別の集団や自然環境や物理法則にとって通らない理屈であれば当然ながら掣肘を食らうことになり計画や目標は破綻します。そうならないためには「我々」以外の事情や状況変化を斟酌して思考に組み込むことが不可欠です。
私の観測範囲が狭いことが原因だとは思いますが、残念ながら今回の選挙における政治報道や言説は「私たちはどれを選びたいか」といった内側だけの論理に偏っており、もう一つの視点である「私たちはどれを選ぶべきか」がなく、バランスが欠けていたと思っています。
これは「どうしたいか」だけでなく「どうすべきか」が重要だ、そう言い換えることもできます。
しかし国際政治に限らず私たちの世界は様々なプレイヤーがそれぞれの思惑で動いている盤の上であり、世界は我々だけが動かしているわけではない以上、必ず外側の論理を考慮することが必要です。
つまり、内側の論理としての「自分たちがどうしたいか」だけでなく、その目的を果たすために外側の事情を考慮した「自分たちはどうすべきか」が並行して必要になります。
結言
このようにいくつか引用できる程度にはこのブログで述べてきた「内側と外側の認識」に関して、この区別と視点は物事を考える上でそこそこに重要だと思っていますので、繰り返しとなってしまいますが何度も述べていきたいです。