ニュースや社会問題、趣味やトレンドなど特定のトピックに対して、独自の視点・経験・論理に基づいた意見を発信するブログや記事、言わばオピニオンブログやオピニオン記事は、意図せずとも批判的・攻撃的なトーンへ寄っていってしまうと考えています。
過激な言葉を使ってページビューを稼ごうとしているわけでも、誰かを攻撃しようと考えているわけでもないのに、オピニオンを書き続けていると文章が尖っていく性質について、オピニオン記事の著者は留意しておく必要がありそうです。
オピニオンの持つ特性
文章が尖っていく理由は複雑なわけではなく、複合的なだけで単純です。
まず、オピニオンは「価値判断」を前提とします。何らかの基準を採用してそれに照らし合わせて対象を評価する行為です。
結果、それが肯定であれ否定であれ、他の価値基準との比較や上下の差を生み出す側面がある以上、必然的に批判的なニュアンスが強まることになります。
また、物事の肯定は抽象的になりやすく、対して否定は欠点を挙げれば成立するため具体的で容易なため、オピニオンは多くの場合で否定の形です。ロジカルに物事を語ろうとすればするほど抽象よりも具体が必要となり、具体を語るには否定の形が必要になるため、オピニオンは攻撃性を帯びていきます。
言語化自体が感情を濃縮する行為であることも留意が必要です。
文章に書き起こすとは思考を翻訳して外部化して他者へ伝えることであり、他者へ伝達したい強い感情や意見だけを残すプロセスであるため、書くほどに文章のトーンが強まる自己強化ループの構造を持っています。
誠実さが攻撃性へと転換されることもあります。
曖昧な表現は誤読や誤解を招きかねないため、著者は意識的にせよ無意識的にせよ断定的な言い回しを選びがちになります。そして断定口調はしばしば攻撃的な印象を伴うことから、読者の為を思って誠実に書こうとすればするほど逆説的に文章が強くなることもあり得るでしょう。
後は単純に、ネガティブな主張のほうが反応を得られやすいこともあります。
何かを否定する意見は、それに同意する人と、否定された側を擁護する人の双方からの注意を引き出しますので、穏健な意見と比較して読者の反応を強く得られます。たとえ著者がページビューを求めていないとしても他者から得られる反応自体が脳の報酬系を刺激しますので、自然とフィードバックが働いて反応を得られるように思考が引き摺られて強い言葉を選びがちになることでしょう。
改善方法の模索
と、このような意見(オピニオン)を提示してみましたが、これもまた一種の攻撃性が散見されるかと思います。
攻撃的であることは問題だとした価値判断と、それによる否定形での批判。断定やネガティブフレーズの利用。多側面での言及による論理構築の暴力性や決めつけ。
人によっては充分に攻撃的な文章だと感じるはずです。
まあ批判行為から攻撃性をゼロにすることは不可能ではありますが、もう少し柔らかさを保つための方法は考えられます。
例えば線引きを変えることは効果的です。
>>結果、それが肯定であれ否定であれ
このように二項での線引き表現は対立構造を生み出しますので、もっと多項であることを示した方が柔らかくなります。「オピニオンは特定の価値基準を採用するため、"他の基準とは異なる立場"を取ることになる」などの表現が穏健です。
断定ではなく確率で表現することもクッションとして意味があります。
>>ロジカルに物事を語ろうとすればするほど抽象よりも具体が必要となり、具体を語るには否定の形が必要になる
このような断定は反証の余地がありますし、反発心を生みます。それよりは「論理的に書こうとすると、結果として否定的な指摘が目立ちやすくなることがある」くらいに収めておいたほうが丸く収まり、むしろ意見を伝えやすくなるでしょう。
シンプルに柔らかい言葉選びをすることも必要です。
>>読者の為を思って誠実に書こうとすればするほど逆説的に文章が強くなることもあり得る
”逆説的”なんて堅苦しい言葉を選ぶと、もうそれだけでカチコチな印象を与えてしまいます。「その結果としてこうなる場合もありますよ」くらいに丸い言葉を使ったほうが親切です。
そもそも”攻撃性”なんて表現を使っている時点で非常に攻撃的です。「表現のトーンが少し強い」などもっと柔らかいポジティブな表現方法はいくらでもあります。
他にも色々と手技はありそうです。
何はともあれ、何もしなければオピニオンは攻撃的になりがちであり、それを避けたいと思うのであれば文章に工夫が必要である、そうした認識が必要になります。
料理と同じで、柔らかい文章を書くためにはひと手間と煮込む時間が必要そうです。
結言
もっと具体的な参考例として、「非常に攻撃的なオピニオン記事」と「刺抜きして柔らかくしたオピニオン記事」を並べると分かりやすくなりそうな気がしました。今回は準備していないので出せませんが、そのうちそんな比較記事も書いてみたいと思います。