忘れん坊の外部記憶域

興味を持ったことについて書き散らしています。

読書中感想文が流行るといいのに

 一冊の書籍を読み、その感想を書く。その感想を書き連ねた文章は一般に読書感想文と呼ばれます。

 ・・・わざわざ述べるようなことでもないですね。

 いかんせん、何かを語り始める時にはまず言葉の意味をしっかりと定義したがる習性があるのです。

「何を語るかを語り」

「語るべきことを語り」

「語り終えたことを語る」

 定義から入り、パラグラフ毎に話題を展開していき、最後に総括する。そういった文章構成が単純に好きなのです。ロジカルライティングやパラグラフライティング、もしくは三幕構成に脳が支配されているのかもしれません。あまり良くない傾向です。

 

 ということでロジカルの欠片もない唐突さを持って、今日は読んだ本に関する感想文について語っていきます。

 

読書感想文は上手く書けない

 さて、読書感想文ですが、私はとても不得手です。読書感想のブログを書ける程度には読書に親しんでいますが、読書感想文はダメです。あれは上手く書けないのです。

 理由は極めて単純で、私の記憶力は揮発性メモリ並であり、感想文として書くまで記憶が持たないからです。感想自体は読んでいる最中にも次から次へと湧いてきますが、一冊読み終える頃には感想の流体が溢れて思索のコップから零れてしまっており、途中でどんな感想が持ったかをまとめきれなくなります。

 感想が浮かんだ端からどんどん書いていけばいいのかもしれません。しかし「あれも書きたいこれも書きたい」と書き綴ると全体のまとまりが無くなりますし、それを避けるために感想を抑えるとただの要約になってしまいがちです。それは真っ当な感想文とは呼べないでしょう。

 結果、狭い範囲を読み直してそこの感想を書くしかなくなり、まったく網羅性の無い、一面的で、広がりの無いつまらない感想文しか書けなくなります。

 だから読書感想文は不得手です。

 

読書感想文が好き

 ブログ等でやっている方を時々見かけますが、読書の感想文は好きです。

 読書中に書く感想文の正式名称を知らないので、これを私は「読書中感想文」とか「読中感想文」と勝手に呼称しています。

 思いついた端から書くことができ、記憶力が長続きしない私にとっては書きやすいので、読書感想文よりも好きです。

 

 ただ、自分で書くのも面白いのですが、実は人が書いている読中感想文を読むほうが好きです

 

 グルメレポートを例にしてみましょう。

 グルメレポートには雑誌やブログで行われる「食べ終えたグルメへの評価」と、テレビや動画サイトで行われる「食べている途中のグルメへの評価」の二種類が主に存在します。

 「食べ終えたグルメへの評価」はグルメそのものが主題です。どのような味で、どういった人にお薦めできるか、そのグルメを選ぶ人に対して必要な情報を提示することが重視されます。

 「食べている途中のグルメへの評価」はグルメを楽しんでいるアクターの心境変化が主題です。グルメそのものの情報だけでなく、このグルメを食することでどのような体験を得られるかというナラティブを提示することが主題になっています。

 これらのどちらが優れているという話ではなく、ただ時間軸と焦点、主題が異なるという話です。どちらの情報を得たいかは人それぞれ異なることでしょうし、だからこそ双方の発信手法が共存されています。

 

 読書感想文は明確に前者と類似の行為です。

 言ってしまえば、読書感想文とは過去を語るものです。読み終えた書籍に対する感想であり、その書籍の具体的な情報に関する感想であり、情報を取り入れて変化した自己への感想であり、いずれにしてもこれ以上変化しない完成した結果を詳述することが読書感想文だと言えます。

 ただ、私が好きなグルメレポートは「食べている途中のグルメへの評価」なのです。そのグルメ自体の詳細ではなく、そのグルメを食することでどういった体験を得られるかが知りたいのです。

 よって同様に、読書への感想文についても読んでいる途中の書籍への評価、すなわち読書中感想文を好んでいます。その書籍を読んでいる最中の心境の変化、感情の動き、得られた情報に対する感動、それが時系列に沿って記述されていく読書中感想文はまさに「食べている途中のグルメへの評価」と同じであり、そのナラティブの詳述こそが私の欲しい情報です。

 正直なところその書籍がどういう書籍かというのは自分で読めば分かりますし、概要については目次なり商品概要なりを見れば分かります。欲しい情報は「その本を読んだことで得られる体験」へのレポートです。

 

ブログと読書中感想文は相性が良い

 ブログの良いところは何かと言えば、唯一無二である個人の感想が数多に溢れていることだと思っています。

 ただ物事への情報が必要なのであれば雑誌やその情報が整理されたWEBページを調べればいいですし、正確な情報であれば専門書や専門誌を開けばいいでしょう。

 例えば「渓流下りをしたい」と思った時に、それがいつどこでいくらで出来るのかを調べるのであれば渓流下りを運営している団体の公式サイトを見るのが一番です。

 しかし、渓流下りをやった結果「どれだけ面白かったか」「どのくらい怖かったか」「何を持っていくのが個人的におすすめか」といった情報は公式サイトにはなかなか載りません。そういった個人の感想には絶対的正解が無く、単一回答を記載するのは困難だからです。

 よって個々人それぞれの感想を探しにいくのであれば、やはりブログが一番です。ブログはそういった相対的正解、個人にとっての感想を表すのに適しています。

 

 そういったブログの利点を考えると、ブログと読書中感想文は相性が良いと思います。その本を読むことで得られる具体的な体験を出版社や筆者が絶対的に提示することはできませんが、ブログではその得られたナラティブを記述することができますので。

 

結言

 以上の理由で、私は読書中感想文を好みますし、読書中感想文をやるブログが増えるといいなと思っています。

 もっと流行れ流行れ・・・